こうして私はお酒を手放した

「執着を手放す」
スピリチュアルに興味がある方は、耳にされたことのがある言葉かと思います。
特に引き寄せなどでは、「引き寄せ」とワンセットになっている「手放し」。

2年ほど前の夏のこと。
私はあるものを手放すことに成功しました。
それは

お酒。

当時の私は、いわゆるキッチンドランカー。
20代前半で就業してから30年間、ほぼ毎日の飲酒。
妊娠、授乳中はさすがにやめることができましたが、それ以外は記憶にあるかぎり、体調不良で1日飲まなかった日があるくらいでした。風邪をひいてもお酒が飲めないなら薬を飲まない、今思えば完全に依存症予備軍でした。
子どもを産み、やがて外で働くようになると、仕事から帰宅し、入浴を済ませ、飲みながら家族の食事を作るというルーティンが定着しました。くたくたの身体を動かすためにアルコールをガソリン代わりにしていました。ただ、休みの日でも夕方からは飲んでしまうので、飲酒は完全に習慣化していました。
危機感がなかったわけではありません。
飲むものはその時期で変わりましたが、2年前当時は「合法ドラッグ」の異名を持つストロング系の缶チューハイを常飲していました。夜中に気持ち悪くなり、トイレにこもることは年に数回程度でしたが、寝る前の記憶がないことはしょっちゅうでした。また、シラフでも会話中にろれつが回らないというか、喋りづらさを覚えることが何度かあり、加齢よりもアルコールが原因ではないかとも感じてはいたのです。(断酒以降は喋りづらさはなくなっています)
お酒がいかに身体と脳を蝕むかについて書かれた本を読み、オンラインの断酒サークルに入りました。
そして自分なりに内観し、お酒との関係を整理しました。あとから気づくのですが、この時自分が行っていたのが、まさに「手放し」でした。

そして、私の最後の飲酒の日。
主人の誕生日祝ということで、義実家と焼き肉を食べに行きました。
「ダイエットは明日から」ではないのですが、なんとなく今日で最後、と考えていました。乾杯をしビールを口にしたとき、不思議なくらい「美味しくない」と感じました。いつもなら義実家の手前だろうとなんだろうと、食べるのもそこそこに飲み続けるところなのですが、その日はおかわりもせずに、ゆっくりと1杯を飲み切りました。
それから2年近く、飲酒をせずにすんでいます。はじめのころは我慢をしている意識もありましたし、お酒の夢も見ました。禁酒アプリをスマホに入れて、経過期間を観察したりもしていましたが、半年を過ぎる頃にはアプリもアンインストールしました。

断酒サークルに入っていたときに思ったのですが、お酒をやめる方法は人それぞれで、それでうまくいく方もいれば、何度も挫折してしまう方もいます。コンビニでも自販機でも24時間入手できてしまうものですから、気合とがんばりだけでどうにかなるものもありません。
お酒のデメリットをとことん自分に叩き込み、恐怖心を原動力にする方法があります。試みている方も多く、成功されている方もお見かけしました。
飲酒から運動(特に筋トレ)にスイッチすることで、断酒を続けている方も多かったです。統計を取った訳では無いのですが、成功率は我慢系に比べると高い印象でした。
ただ、私のように「手放し」で断酒を継続できている方は、少なくともサークル内にはいらっしゃいませんでした。
なので、もし禁酒・禁煙、断酒などを試みている方の参考になればと思います。

お酒をやめなければ、と思いつつ、完全に習慣化していた飲酒。
なぜ、自分はお酒を必要としてきたのだろう。
まず、自分とお酒の関わりを内観しました。

※※※

若い頃、「女友達とお茶しながらおしゃべりを楽しむ」などという高等技術を持たなかった私にとって、同僚とのコミュニケーションのクッションとして、アルコールはなくてはならないものだった。
結婚、妊娠、退職、出産。ワンオペ育児、孤独。再び働きはじめてからの過労。
50歳を超えての正社員への就職活動。子どもの不登校。色々あってすでにメンタルずたずたな状況で、なんとか正社員として就労するもパワハラにおいうちをかけられる。「これから子どもにお金がかかるんだから」と仕事にしがみつく。子どもの保護者同士の諸々。夫とのコミュニケーションはほぼなし。実家は遠く、友人はいない。
子どもたちがいるから死のうとは思わなかったけれども、朝のアラームとともに感情をオフにして、「はやく人生終わらないかな」と考えていた。
そんな生活を支えてくれたのがアルコールだ。

母親としてひどい状態だったかもしれないけれど、アルコールがあったから少なくとも子どもたちを飢えさせなかった。アルコールが枯渇したエネルギーを絞り出させ、孤独を癒やしてくれた。
ありがとうアルコール。乗り越えてこられたのは君のおかげだ。

でも、もう大丈夫だよ。

もう、大丈夫だから。今までありがとう。

さようなら。

※※※

そんな内観のあと、あまりおいしく感じられなかったビールを飲み終えました。
それから、私はお酒を飲んでいません。
酒の席に着いたこともあるし、家には夫の趣味でもあるワインが常備されています。
それでも、飲まずにすんでいます。

また何かステージでも変われば、飲む機会もあるかもしれませんが、正直先のことはわかりません。
今は2年近く飲んでいない、という事実があるだけです。

これが私にとって「手放し」が目に見えて成功した例となりました。

「感謝して」、「手放す」。

もし、今やめたいことがある人へ、少しのヒントになれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?