#ファーストデートの思い出 彼が触りたかったもの
最近、バーテンダーの方の有料noteを面白く読ませてもらっている。
難しい言葉を使わない、読みやすい文章は、私が大好きな松浦弥太郎さんを思わせる。バーデンダーの林さんならではの恋愛に関する男女の分析は面白い。その林さんの著書発刊記念のハッシュタグ企画「#ファーストデートの思い出」書いてみようと思う。
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高校生になったら、「彼氏」というものは自動的にできるものなのかと思っていた。誰かを好きになったりなられたりはしたけれど、「付き合う」というのがよくわからないまま高2になり、夏休みが終わり秋になろうとしていた。
そんな私に気になる人ができた。その人が「合コンをしたい」というので、開いた。そしたら彼は、私が連れて行った女の子に夢中になってしまった。
合コンの途中で、私はものすごく泣きたい気持ちになり、帰りたくなった。
すると、私と同じようにもう帰りたそうにしている男性がいた。
ファミレスでは一番安いメニューを頼み、端っこに座っていた。カラオケでは「俺、音痴だから」と言って全然歌わない。
彼に「もう帰りたい。送ってくれない?」と頼み、私たちは帰ることにした。その車中でなぜか話が盛り上がって、彼は帰り際に「お前おもろいから、うちに嫁に来い」と言い、私たちは付き合うことになった。
彼は当時21歳で社会人、私は17歳になろうとしている所だった。突然のプロポーズで始まった恋愛のスピードは早く、メールだけでは物足りず、その週のうちに再び会うことになった。
ファーストデートは、私の予備校帰り。
電車で通っていた私を彼が車で迎えにきてくれ、最寄り駅まで送ってくれたような気がする。最寄り駅についてからも別れるのが忍びなく、私は彼に「あなたの刺青を見せてくれない?」と頼んだ。彼は外からは見えない所に刺青を入れているらしかった。今まで刺青を入れている人なんて、私は会ったことがない。私はそれを彼の口から聞いて、とても気になっていたのだ。
彼は、少しその辺りをウロウロと車を走らせてくれて、どこかで車を停めてくれたと思う。白いTシャツを脱ぎ、薄暗い車内で、自分の左胸と背中、二の腕に入った刺青を見せてくれた。ハードコアやパンクの音楽が好きなドラマーでもあった彼には、背中に入った蜘蛛の刺青がとても似合っているように見えた。私はそっとそれを指で触れてみた。
そのあと、予定通り駅まで送ってくれようとしていた時に彼が言った。
彼「俺の頼みも一つ聞いてくれない?」
私「何?いいよ」
彼「体の一部を触らせて欲しい」
私「・・・どこ?」
彼「・・・」
「夜、車内、年上の彼氏」
私史上、最上級に刺激的なこの状況で、更にこの人は何を言うか!と私は驚いた。少ない経験の脳みそで考えると、男の人が触りたいなんて、胸に決まっている!
私「一体、何が触りたいの・・・?胸?」
彼は答えなかった。
そうだ、胸に決まっている!ああ私は食われてしまうのか。
駅前で彼は車を停めた。
彼「髪の毛を触らせて欲しい、髪がサラサラだから触って見たいんだ」
私は「なあーんだ、髪の毛か」とどこかホッとした。
私「いいよ」
彼は静かに私の髪の毛を撫でた。一気に二人の顔と顔が近づいた。彼は、ちゃらけたようなテンションの高い話し方をする事が多かったのに、いきなり真面目な顔つきで「キスしていい?」と私に聞いた。不意をつかれた私は、「うん」と言ったか言わないかのうちにキスをしてしまった。やられた。
そのあと、自転車を立ち漕ぎで家に帰り、彼とまた電話で少し話した。
内容はよく覚えてないけど、両親に聞かれると恥ずかしいので、早めに切った。そのあとはメールで、「キスはレモンの味がしたとかしてないとか」のやり取り。彼は「美味しかった、ごちそうさま」と送ってきた。
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