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「フィードバック」がもたらすもう一つの価値

written by 市毛智雄

エグゼクティブ・コーチングの成果に関する調査で、成果の一つとして「コーチングを受けたエグゼクティブが、フィードバックを受容するようになる」という項目があります(※1)。ここでいう「フィードバック」とは、「目標に向けていち早く軌道修正するために周囲からもらう情報」のことを意味します。

「フィードバックを受容する」とは、エグゼクティブが「フィードバックを受け取る」ことを意味します。

「フィードバックを受け取る」ことは、エグゼクティブ自身のブラインドスポットをなくすことにつながり、目標達成に向けて自身の言動・行動などの軌道修正が可能になるという効果があります。

しかし「フィードバックを受容する」とは、単に「フィードバックを受け取る」ことにとどまりません。それは、エグゼクティブ自らが「フィードバックを求める」という行動にもつながっていくのです。

フィードバックは、する側にとっても価値がある


ここに「フィードバック」というコミュニケーションがもたらす、もう一つの大事なポイントが存在します。実は「フィードバック」は、「フィードバックを受け取る」側だけでなく、「フィードバックする」側にも、あるポジティブな変化を起こします。「フィードバックする」という行為は、その人自身の主体性を高める効果があるのです。

人から「フィードバックを求められる」という体験は、その人にとって自分の存在価値を実感する体験であり、自己効力感の向上につながります。その自己効力感の高まりが、「フィードバック」する相手や、その人が取り組んでいることに対して自ら主体的に関わっていこうという意識を高めるのです。

しかし「フィードバック」することにはリスクが伴います。

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【参考資料】
※1 『クライアントが実感するエグゼクティブ・コーチングの効果』 調査期間 2013年1月~2014年10月/コーチ・エィが提供する「エグゼクティブ・コーチング」を受けた107名を対象に実施したアンケート調査に基づく。

※2 アセスメント:調査期間:2015年10月~2020年5月/コーチング・プログラム参加者3,930名に対する、コーチングを受けた周囲の人17,037名の回答にもとづく。

※3 Great Place to Work® Institute Japan(株式会社 働きがいのある会社研究所)

※4 d's JOURNAL 「『働きがいのある会社』3年連続1位。経営陣も含めたメンバー同士がフィードバックして成長し合うコンカーの企業文化とは?」 2020年6月25日

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筆者情報: 市毛智雄
株式会社コーチ・エィ
国際コーチング連盟マスター認定コーチ
一般財団法人 生涯学習開発財団認定マスターコーチ

上智大学大学院臨床心理学専攻修士課程修了 国立精神神経センター等で臨床心理士として勤務。その後、1986年より、ビジネスパーソンを対象にモチベーション向上にむけたコミュニケーショントレーニングを実践する。1990年より92年までニューヨークにおいて海外駐在員対象のリラクセーションセミナー、異文化適応プログラムを実施。帰国後、株式会社コーチ・エィの設立時より参画。

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