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「コーチング」の歴史

「コーチ(Coach)」という言葉が最初に登場したのは1500年代。もともとは「馬車」のことを指し、「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味で使われていました。

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そこから「人の目標達成を支援する」という意味で使われるようになります。

コーチングの誕生

その後、「コーチ」は個人や組織の目標達成を支援する存在として、教育、スポーツ、そしてマネジメントとさまざまな分野で発展を遂げていきます。

1840年代には、英国オックスフォード大学で学生の受験指導をする個人教師のことを「コーチ」と呼ぶようになります。

スポーツの分野で使われるようになったのは1880年代で、ボート競技の指導者が「コーチ」と呼ばれていました。

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マネジメントの分野では 1950年代、当時ハーバード大学助教授であったマイルズ・メイス(Myles Mace)氏が著書『The Growth and Development of Executives(』1959 年) の中で、「マネジメントにはコーチングが重要なスキルである」と紹介しています。また、1980 年代になると、コーチングに関する出版物が多く登場し始めました。

1987年には、マネジメント・セミナーが開催され、アメリカを代表するコーチたち --- George Allen(プロフットボール監督)、Red Auerbach(プロバスケットボール監督)、Tim Gallwey(「『インナーゴルフ』の著者)、John Wooden(大学バスケットボール監督)他、コーチング研究者たち --- が一堂に会してコーチングのテクノロジーについて語っています。

個人の能力開発から組織開発へ

コーチングは、新たに「発明された」というよりは、「発見された」ものです。

もともと人の育成に長けている「ネイティブ・コーチ」(もともとコーチの資質を持っている人)たちのコミュニケーションを観察、分析して体系化したもので、そこからトレーニングで身につけることが可能なスキルとなっていきます。

1992年には、米国にて、コーチを育成する機関 Coach University が誕生。コーチの育成プログラムを提供するようになります。また1996年11月には非営利団体 International Coach Federation (ICF,国際コーチング連盟)がコーチの質の維持を目的に設立され、その活動は世界中に広がっています。

当初、トレーニングを受けていたのは、プロフェッショナル・コーチとして独立を目指す人が大多数を占めていましたが、やがて、マネジメントスキルとしてのコーチングに焦点があたるようになっていきます。

日本におけるコーチング

日本におけるプロフェッショナル・コーチの確立とコーチングスキルの普及が始まったのは1997 年。コーチ・エィ(当時コーチ・トゥエンティワン)が、日本初のコーチ養成機関として、コーチングを体系的かつ体験的に学ぶ「コーチ・トレーニング・プ ログラム(CTP)」の提供を始めました。

日本におけるコーチングの黎明期には、「人生をどう設計するか」 というテーマを扱う個人向けのコーチングへの関心が高く、コーチとして独立を目指す人が多数トレーニングを受けていましたが、やがて、マネジメントスキルとしてのコーチングに焦点があたるようになっていきます。

そして次第に、企業でのマネジメントに活用するビジネスパーソンをはじめ、教育関連、医療関連、士業、専門職など、コーチングスキルを学ぶ人の職域も多岐にわたるようになり、コーチングはさまざまな領域で独自に活用、展開されるようになりました。

現在では、「組織のマネジメントにおける人材開発手法」としての認知が高まり、多くの企業・組織が、人材開発、リーダー育成、風土改革のためにコーチングを導入しています。

コーチングは今、「個人が学ぶスキル」から、「組織変革の手段」へとその活用の場が広がっています。

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