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【コーチングとは】今だから知りたい本質と4つの誤解

はじめに

「今、注目され、活用の場・形も広がり続ける『コーチング』とは、そもそもどのようなものなのか?」

そんな問いにお応えすべく、コーチング成り立ちの歴史から最新情報まで、エッセンスでまとめました。通しで読めば、コーチングの本質と最新情報を一度に学ぶことができます。できます。

もちろん、まずは「興味のある部分だけ拾い読み」もOKです。

参考情報へのリンクも充実させていますので、より深く理解したい方は、ぜひリンク先もチェックしてみてください。

目次
1.コーチングとは?
2.ここで「コーチング」の歴史をおさらい
3.今、なぜ「コーチング」か?
4. コーチング、4つのよくある誤解
5. コーチングのリアル&最新を知りたい
6.ティーチングとコーチングの違い

1.コーチングとは?

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まずは「コーチングとはどのようなものなのか」について、その特徴となるポイントを確認していきます。

コーチングとは、対話(コーチング・ダイアローグ)を通して、クライアント(コーチングを受ける人)の目標達成に向けた能力、リソース、可能性を最大化するプロセスである。

昨今、多種多様な分野で、さまざまな形態のコーチングが登場し、コーチングに関する書籍やトレーニングも年々増えています。それに伴い、「コーチング」という言葉の定義にもさまざまなものがありますが、コーチ・エィでは、コーチングを上記のように定義しています。

1-2コーチング・ダイアローグ

このコーチングで交わされる対話を「コーチング・ダイアローグ」と呼びます。その中心には、常に「問い」があります。コーチング・ダイアローグとは、「問い」を間において行う「探索的な対話」ということができます。

続いて、コーチング・ダイアローグの特徴について、さらに詳しくみてみましょう。

1-3 コーチング・ダイアローグは未来に向けた共創の対話

コーチング・ダイアローグにはさまざまな特徴がありますが、もし、ひとことで表現するなら、「未来に向けた共創の対話」と表現することができます。

ここでは、コーチング・ダイアローグのそうした性質を特徴づける5つのポイントを紹介します。

1)コーチングの3原則

●インタラクティブ(双方向)

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組織の中におけるコミュニケーションは、上司から部下への指示・ 命令・伝達など、一方通行であることが少なくありません。

一方、コーチングは、「インタラクティブ(双方向)」なコミュニケーションによって進行していきます。

とはいえ、ただ一方的にコーチが質問し、相手が答えるという単純な問答形式をとることが「双方向」というわけではありません。

コーチングにおいて大切なのは、コーチからの問いかけに対して、自由に発想できることです。相手が自分の考えや思いを十分に話せていない状態では、新たな気づきも生まれにくくなってしまいます。また、コーチは相手の話をただ黙って聞いているのではなく、話を聞いて驚いたこと、興味を持ったこと、違いを感じたことなどを率直に相手に伝えます。

そのように、「問い」を間に置いて、共に自分の考えや思いを率直に話すことができる状態こそが、「インタラクティブ(双方向)」な状態です。

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●テーラーメイド(個別対応)

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テーラーメイドとは、一人ひとりの体型に合わせて服を作るように、コミュニケーショ ンを個別にデザインすることをいいます。

価値観、考え方、行動パターン、もののとらえ方は一人ひとり異なります。そのため、ある人とのコミュニケーションでうまくいったやり方が他の人にも同じように機能するとは限りません。ですから、コーチングをするときにも、どの相手にも同じような関わり方をするのではなく、一人ひとりをよく観察し、その人に最も適した方法を模索します。

また、人は物事の取り組み方や学習の仕方、思考の癖なども一人ひとり異なります。たとえば、上司が自分のうまくいくやり方を部下に押しつけてもうまくいかないのはそのためです。ですから、その人らしさを尊重し、その人の強みに目を向けることが、テーラーメイドの関わりではとても重要です。

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●オンゴーイング(現在進行形)

オンゴーイングには「進行中である」という意味があり、コーチングでは、定期的に目標達成に向けて対話する時間を持ち、継続的に相手と関わり続けることをいいます。

コーチングは、実現したい目標に向けて、相手が自ら行動を起こす中で、必要な能力やスキルを開発していく学習のプロセスです。そのプロセスにおいては、目標達成に向けて行動してみての気づき、小さな成功への祝福、現在地や次にどこに向かうかの確認、新しいアプローチの検討など、さまざまな角度で、相手が潜在能力を最大限に発揮するための関わりがきわめて重要です。

また、コーチング・セッションの中でどんなに戦略を練ったとしても、実際に行動を起こしてみると、現実との間に必ず誤差(ギャップ)が生じます。いち早く目標達成に向かうには、そのギャップをリアルタイムで認識し、修正していく必要があります。

ですから、コーチは、定期的に対話をして進捗を確認することはもちろん、相手が実践を通して得た気づきを言語化する機会を提供したり、成果や成長を共に祝福したりすることで、相手が潜在能力を発揮しながら前進し続けられるように関わります。

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2)Think together™️(共に考える)

誰かと話すうちに、思いもよらなかったアイディアや話題が出てきたり、想像もしていなかった結論にたどり着いたという経験はないでしょうか。

「共に考える」コミュニケーションでは、「意味の再解釈」や「新たな意味の創出」が起こります。そのとき重要なのは、「質問する人」「質問される人」という区別なく、問いを間に置いて、双方向にやり取りをすることです。

他者と共に考えるプロセスを通して、自分にない視点や考え方に触れることで、自分の視点・考え方を相対化し、よく見ることができるようになります。そして、そこから再解釈された視点や意味の変化は、新しい行動や関わりを引き起こします。

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3)目的(パーパス)と目標に向けて行う

コーチングは相手の「目標達成に向けた対話」です。つまり、「目標」なしにはコーチング・ダイアローグは成り立ちません。コーチの役割を一言で定義するならば、「相手の目標達成に向けて、相手を主体的に前進させること」ということができます。

ここで重要なのは、"主体的に"という点です。つまり、コーチングにおいて「目標」とは、本人が"自ら選んだもの"であり、"自ら達成に向けて動いていけるもの"である必要があります。よってコーチは目標のその先にある「目的(パーパス)」にも相手と共に意識を向けながら目標設定、そしてその達成に向けた対話を行っていきます。

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4)行動変容を起こす

コーチングが目指すのは、「行動変容」です。

とはいえ、行動を変容させるということは、思っている以上に難しいものです。人は、こうした方が良いと頭では理解していても、行動を変えられないことがあります。なぜなら、「頭で分かっていること」と「行動」の間には深い溝があるからです。

この溝を双方向のコミュニケーションによって埋めていく試みがコーチングです。

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5)「違い」を活かす

組織、チームの中には、いろいろな種類のコミュニケーションが存在しています。どちらが正しいのか間違っているのかを明らかにしようとする"ディベートのようなコミュニケーション"。おたがいの違いの共通項を見つけ、安心感を醸成することを主目的とする"会話的コミュニケーション"。そして"情報共有"。

さて、対話とは、ディベートでも会話でもありません。そのなかで情報共有はされるでしょうが、主目的ではありません。対話は、"おたがいの違い"を顕在化させていきながら"物事に対する新たな洞察"を手にすることを目指します。(中略)そして"目の前の人と話すことによって、世界が新しく見える"という、なんともいえない喜び、驚き、醍醐味を味わうことができます。

コーチは、相手に問いかけ、共に探索し、相手さえもクリアに言語化していなかった見方を顕在化させる存在です。違いを恐れず、違いを愛し、違いの中に入っていきます。だから、コーチは対話の誘発者であり、対話のエージェントであるといえます。

新 コーチングが人を活かす』SKILL62より抜粋編集

2.ここで「コーチング」の歴史をおさらい

コーチは、人の目標達成を支援する

「コーチ(Coach)」という言葉が最初に登場したのは1500年代。もともとは「馬車」のことを指し、「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味で使われていました。そこから「人の目標達成を支援する」という意味で使われるようになります。

その後、「コーチ」は個人や組織の目標達成を支援する存在として、教育、スポーツ、そしてマネジメントとさまざまな分野で発展を遂げていきます。

個人の能力開発から組織開発へ

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コーチングは、新たに「発明された」というよりは、「発見された」ものです。もともと人の育成に長けている「ネイティブ・コーチ」(もともとコーチの資質を持っている人)たちのコミュニケーションを観察、分析して体系化したもので、そこからトレーニングで身につけることが可能なスキルとなっていきます。

1990年代には、米国でCoach University、Co-Active Training Instituteなどのコーチ育成機関が相次いで事業をスタートし、その後、非営利団体 International Coaching Federation (ICF,国際コーチング連盟)がコーチの質の維持を目的に設立されたのを皮切りに、その機運は世界中に広がっていきます。

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