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プログラミング教育必修化における、各市町村教育委員会の取り組み状況とは

【地域別取組状況の実態】


文部科学省が発表している(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00218.html)各市町村教育委員会における小学校プログラミング教育に関する取組状況は以下の図から読み取ることができます。

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これによると、約93.5%の教育委員会が各校1人以上の教員が実施済みもしくは年度末までに実施を予定していることがわかります。一方では、6.5%の教育委員会が管轄の学校で研修等を行っていない、全く実践をしていないことが明らかになります。

ここでは各校1人以上の教員が実施している、あるいは実施予定と把握している約93.5%について詳しく分析していきます。

具体的に何を実施しているのかについては下記の調査が行われています。

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研修を受けている割合が最も多く69.2%に上ります。その他、教育委員会によっては教員個人に研修を実施する、模擬授業などを行うなど取組状況への熱量に差がみられています。

更に細かく分析すべく、最も割合の多い『研修』に焦点を当て教育委員会が行う研修と、教育委員会以外が行う研修についてのグラフは以下のようになります。

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研修の実施状況に関しては4割強の教育委員会が実施していることがわかり、年度末までに実施予定も含めると教育委員会主導の研修は66%に上ることがわかります。

更に、教育委員会主導でない研修も57%の教育委員会が実施することからプログラミング教育に臨み積極的に研修を受ける教育委員会が大半を占めることがわかります。

【都道府県別の回答状況について】


各教育委員会の実施状況がわかったところで、都道府県別の実施状況についての調査は以下のようになっています。

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『各校1人以上の教員が実践的な研修、または授業・模擬授業を実施済みと把握している』もしくは『各校1人以上の教員が年度末までに実践的な研修、または、授業・模擬授業を実施する予定であると把握している』という回答の平均値は93.5%と比較的高水準ではあるものの、100%には及びませんでした。

最高値である100%を達成しているのは熊本県・長崎県・高知県・徳島県・岡山県・鳥取県・和歌山県・奈良県・兵庫県・滋賀県・岐阜県・福井県・石川県・東京都・埼玉県・栃木県・茨城県・北海道の18都道府県で全体の38%に過ぎません。

その中でも更に『各校1人以上の教員が実践的な研修、または授業・模擬授業を実施済みと把握している』という項目で100%を達成しているのは長崎県・高知県・和歌山県・福井県・埼玉県の5件のみとなり、全体の10%に留まりました。

全都道府県中最低値である73.7%は島根県で、青森県・福井県に至っては『教員が実践的な研修、または、授業・模擬授業を実施していない、かつ、年度末までにも実施する予定はないと把握している。あるいは、一部の学校を把握しているが、それらのいずれの学校でも教員が実践的な研修、または、授業・模擬授業を実施していない、かつ、年度末までにも実施する予定はない』との返答が他の都道府県より圧倒的に多くなっています。

教育委員会の教員に対する研修等における熱量はそのまま児童らの教育格差に繋がりかねません。上記の図を見ると一目瞭然であるように、地域ごとではまだまだ教員への研修ですら格差が生じているのが現状です。

しかしながら、自由記述では年度末まで(この調査は令和元年に実施されたものです)には実施しないものの、令和2年から実施予定である記述や、年度内に年間指導計画等を作成するという記述も見られており、どの教育委員会もプログラミング教育必修化に向けては注力していく方針が見られます。

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