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春-福田花

ドラッグストアで買うわけでもないアイシャドウのテスターを手に塗ってみる。緑や青など、似合わないことを確認する。

ベースのアイシャドウを使い切っていたことを思い出し、テスターを、今回はちゃんとテスターとしてテストしようとする。左手にはちょっと春に浮かれてるんじゃない?というようなグラデーションができていた。もちろん余白はない。

左の人差し指で薄橙のアイシャドウを取り、右手の甲に乗せるもののうまく乗らない。なぜ?とまじまじ見ると、酷くはないものの細かな幾何学っぽい皺に沿ってペリペリと皮膚がめくれている。手が荒れていたとは。

アイシャドウの色よりも手荒れが気になり、両手を比べて荒れの左右差を確認し、「いつもスポンジを持っている手だから」と食器洗剤によるものだともっともらしいようでもっともでない結論づけをする。何も買わずに帰る。ハンドクリームは家に余っているし、食器洗剤もまだ入れ替え用のものがある。手荒れに悲しみ、アイシャドウのことを忘れていた。

一瞬、冬を思った。手がガサガサで、参考になるはずないと思っているから、冬にお試しはしなかった。ずぼらを理由に保湿などしていないんだった。
皮膚を平等に大切にしたい。アラサー、ケアは必須か……。

桜が散る中、ピンク色のラグラン一枚とジーンズでドラッグストアに訪れていた。こんなにも装いは春をめいっぱい楽しんでいるというのに、体は追いついてなかったのかもしれない。
手荒れ、春になってもするのか。

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