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認識分化論入門(02)
第二章 認識の分化の過程
人は、生まれてすぐは、まだ、何もわかりません。
文字通り、右も左もわからない状態です。自分が何者かということもわからず、そもそも自分という概念さえ、まだ存在しないでしょう。
そのうち、指しゃぶりなどを通じて、指が自分の一部であることを、悟りはじめます。赤ん坊の指しゃぶりをやめさせる人がいたりしますが、あれは、発育の過程を奪うようなものです。
そのうちに、自分の世話をしてくれる者に気がつきはじめます。自分ではない、何者かの存在を知っていくことになります。
こうして、自分と、自分以外という区別が生まれ、だんだんと自分という認識が育ち、幼いなりの好みや心地よさを理解していくのです。
4歳ぐらいには、自分としての意識、考えなどを持つようになります。小学校1年ぐらいまで、自分のまわりの家族・地域・社会などの存在を学びながら、試行錯誤しながら自分なりの判断や行動ができるようになっていきます。
小学校に入り、たくさんの人と交渉を持ち、利害が生じてくると、自分と自分以外とを、より強く意識するようになります。しかし、ほとんどの場合、自分のことと、自分にとっての価値しか、認識することができません。
それが、おおむね小学校2〜3年ぐらいになると、自分以外の存在を強く意識するようになり、同時に自分というものをより強く意識するようになります。
個人個人の差は大きいものの、だいたいこの頃から、他人の気持ちや立場を考えはじめ、認識が分化してゆくのです。
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