ボケの四十八手(40)
第三十九手 イチャモンボケ
いわれのない、的はずれな難癖をつけることで、成立するボケ。
【使用例】
《例1》
ボケ太郎「ハナ肇とクレイジーキャッツって、あれ、おかしくないか。
普通、赤と黒っていったら、赤と黒とは別の色だろ。
裕子と弥生といったら、裕子と弥生は別々の人間のはずだ。裕子が弥生の一部であったり、弥生が裕子を含んでいるわけじゃないじゃないか。
ハナ肇は、クレイジーキャッツの一員なんだから、あれは、ハナ肇はじめクレイジーキャッツって、いうべきなんじゃないだろうか」
《例2》
ボケ幸朗「キャンユーセレブレイト?
これから結婚しようという若い女が、結婚相手に、『あなたはこの結婚を祝福できますか』なんて聞くか?
そんなもん、もっと早く確認しとかんか。
キャンユーキスミートゥナイト?
あなたは私に接吻をすることができますか?
お前は怪獣か。
永遠ていう言葉なんか知らなかったよね?
学校で何を教わってきたんじゃい。
責任者、出てこーいっ!」
ボケ幸子「あんた、そんなこと言って、ほんまに出てきたらどないするの」
ボケ幸朗「謝ったら、しまいや」
《例3》
ボケ太郎「よく、起承転結が大事だって、いいますよね。
起承転結の、いちばん素晴らしい例が、青島幸男さんの作詞した『だまって俺について来い』という歌だと思います。
まず、『ぜにのないやつぁ 俺んとこへ来い』。おお、行ったらどうなるんだろう。まさに人を惹きつける、〈起〉のお手本ですね。
これを受けて、『俺もないけど 心配すんな』。なるほど、心配しなくてもいいのか。納得の〈承〉ですね。
さて、ここで、『みろよ 青い空 白い雲』。完全に場面がかわりました。なんと鮮やかな〈転〉でしょう。
そして、最後に、『そのうちなんとか なるだろう』。誰もがうなずく、見事な〈結〉ですね」
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