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クリスタルパレス×チェルシー  プレミアリーグ第9節 2022.10.3

こんにちは! へーこです。

今回は、クリスタルパレス×チェルシーの一戦についてのマッチレポートを書いていこうと思います。

グレハム・ポッターがチェルシーの監督に就任してから初のプレミアリーグでした。どのような展開になったのかについて、振り返っていきます。

◆スタメン◆

スタメン

スタメンはこちら。

システムは433。といってもチーム内でシステムをなんと伝えられているかはあまり分からない。それほどまでに試合中のポジショニングが流動的だからだ。ちなみにwhoscoredでは4222で書いてあった。

CLのザルツブルク戦からはククレジャとチルウェルが入れ替わった以外はすべて同じ。ククレジャがメンバー外だった理由は調べてみたがわからなかった。スペイン代表にも召集されていたわけでもないっぽいのでどうしてだろう。(後で知ったが、単に体調不良なだけだったようだ。)

パレスのシステムも433。中断前の試合はニューカッスルとスコアレスドローだったみたいだ。

◆変幻自在な左サイド◆

パレスの狙いは442のブロックを組みながら、チェルシーのボールを引っかけてロングカウンターに持ち込むことだった。

前半6分、パレスはロングボールを放り込みフォファナの処理ミスをザハが拾ってうまくカウンターにつなげ、先制に成功。フォファナは最初の処理ミスもよくなかったがクロスを上げられたシーンでもボールウォッチャーになっていたのでここは要改善。

早々に先制したことによりパレスはより一層ロングカウンター色を強めていく。

ポッター政権下で分かりやすく変わったのは4バックから3バックになったということ。ポッター自身、ブライトンで3バックを採用していたし、トゥヘル政権下でも使っていた3バックを捨てて4バックに変えた。

理由は様々考えられるだろうが、リュディガー、クリステンセンのCB2枚が退団し、豊富に抱えるアタッカーを全員ピッチに置きたかったという、スカッド事情が主な理由だろう。

とにかく、システムの変更に伴いビルドアップにおいてもモデルチェンジが求められた。3バックと4バックは本質的には同様のことが求められるが、何が違うかと問われれば4バックの方がより選手の柔軟性が求められるだろうということだ。

4バックにおいて選手に求められる柔軟性とは前向きサポートの作り方である。サッカーのビルドアップにおいては中央で前向きにボールを持てる選手と前線でボールを待つ選手の数を調整しながらその最適バランスを探っていくのが重要である。

この試合のチェルシーは左サイドのビルドアップにおいて特徴を見せた。

2CBのフォファナ、Tシウバはビルドアップの際に少し右に偏ったポジションをとる。多分、フォファナとTシウバは近い距離感を保ったうえでフォファナが右のフロントエリアを使うということが決まっていたのだと思う。つまり必然的に、左サイドのフロントエリアを使う選手はいなくなる。

ポッターが選手に与えた余白はここにあったのだと思う。

マウント、ジョルジーニョ、チルウェルは空いている左のスペースに代わる代わる降りてきて前向きサポートを作る。時にはTシウバがドリブルで前進するなど、左サイドのビルドアップにおいて多くのパターンを見せた。

◆4vs2の鳥かご◆

もう一つ特徴的であったのは中央での数的優位の作り方である。

前述した通り、フォファナ、Tシウバはお互いに近い距離感を保つ。さらにジョルジーニョ、コバチッチも加わり四角形を作りながらパレスのエドゥアール、オリセに対して数的優位を確保しつつ、ボール保持を安定させる。この部分に関してはホントに4vs2の鳥籠をずっとやっているような感じになっていた。

2ボランチとりわけジョルジーニョが優れているのは「CBにパスコースを提供しつつマーカーに捕まらないスペースを瞬時に見つける」能力であり、この試合でも遺憾なく発揮していた。

近い距離感と共に鳥籠を成立させていたのは、ライン間で駆け引きする選手たちである。

低い位置でビルドアップする選手を少なくすることにより、チェルシーはライン間に多くの人を送り込むことができた。

図のように、ライン間でスターリング、ハバーツ、オーバメヤン、マウントの四人がポジションチェンジを繰り返す。

そのため、パレスのエゼ、ドゥクレの二人はライン間のスペース管理に手を焼き結果としてコバチッチ、ジョルジーニョに届くところまで足を伸ばしきれなかった。

チェルシーのボール保持


少し、パレス視点の話をするとパレスが能動的なハイプレスでチェルシーを慌てさせる場面はほとんどなかった。

これをどこまで意図的とみるのかは難しいが、はっきりと足りていなかったのは両WGのタスクの明確さだ。

パレスのハイプレスにおいて足りなかったのは、両ウィングのプレス参加である。特段ザハとアイェウが守備をサボっていたのかと言うとそう言うわけではなく、構造上の問題である。

右サイドのアイェウは立ち上がりこそ高い位置を保っていたものの徐々に押し込まれ中盤の中でも一列低い立ち位置になっていた。

おそらく、自分の対面に選手がいない場面も多く、脇をマウントがふらついていたためそこを抑えるためにポジションを下げていたのだと思われるが、結果として前の二人を孤立させてしまっていた。

何度か思い切って前に出す場面もあり効果的なこともあったが継続的なプレスは見られなかった。

左サイドのザハに関してはジェームズのケアを担当していたと思われるが、ジェームズが完全に超えてしまえばケアするのは難しい。セオリーでは内側に絞ってコースを隠すべきだがそれすらも出来てないおらずエゼとのタスクの棲み分けをした方が良かった。

21分のシーンではチェルシーがマウント、Tシウバ、フォファナとサイドを変えそれに対してアイェウ、エドゥアールのプレスをかけたが、ザハが連動しきれずに無駄になってしまっていた。

21分 パレスのハイプレス

◆圧縮プレス◆

この試合、もう一つ顕著であったのがネガティブトランジションにおいてサイドに圧縮するカウンタープレスである。

44分のシーンでは最初はうまくパレスがボールを逃したように見えたがチェルシーが同サイドに圧縮するプレスをかけて完璧にボールを奪い返した。

サイドに圧縮する守備で重要なのはボールホルダーからキャンセルの術を奪うことである。

このシーンでは、オーバメヤン、ハバーツがウォード、ドゥクレへの逃げ道を消してマウント、コバチッチ、ジョルジーニョが同サイドの選手を捕まえている。

44分の圧縮プレス

◆配置変更◆

後半に入ってチェルシーは少し前線の配置をいじった。

FW三枚の立ち位置を左からスターリング、オーバメヤン、ハヴァーツに変更。

チルウェルが低い位置をとった時の幅とり役をスターリングに任せたかったというのが狙いだと思われる。ただ、チルウェルが低い位置に入ることが多く、パレスのオリセとしてはプレスのスイッチをむしろ入れやすくなったことの方が多いように見えた。

後半の配置変更

◆終わりに◆

記事の中ですべては触れなかったが、後半終盤にも選手を代え配置を変えてとポッターが試合の中でかなりやり方を変えるタイプの監督であるということは分かった。あと、今後4バック、3バックの使い分けをしていくのかも楽しみなところである。

また、ボール保持においてクオリティを見せることができた一方で引き込まれた相手を崩すのに手を焼いたのも事実である。

先日のノースロンドンダービーでアーセナルが見せつけたように相手をサイドに揺さぶって突破力のあるWGが勝負するというのが近年の傾向であるが、チェルシーにはその種のWGのカードが少ない。かといってハーランド的なゴール前で一気に押し込めるストライカーが充実しているわけでもない。

ポッターが今後そのあたりをどのように仕上げていくのいくのかは注目である。

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クリスタルパレス×チェルシー プレミアリーグ 第9節 2022.10.3
1-2
得点者 エドゥアール、オーバメヤン、ギャラガー

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