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季語六角成分図「流れ星」

俳句ポスト 第264回 2021年7月20日週の兼題。

季語六角成分図「流れ星」より。
(視覚)夜空を横切る一瞬の光の筋。満天の澄んだ星空。ペルセウス座・しし座流星群。明かりがなくて空の広い、山や野、海岸など。流れ星を待つ人々、恋人たち。望遠鏡。
(嗅覚)なし。
(聴覚)無音、静けさ(流星が大気に衝突した際、摩擦により音が出るそうですが、一般的には無音でしょう)。三回唱えられる願い事。流星を探す人々の声。
(触覚)涼やかな風。
(味覚)なし。
(連想力)願い事、おまじない、死者への祈り、命、魂。死や不吉の前兆。炎、燃え尽きる。ロマンティック。宇宙の深淵。天狗。

★小天体が大気に突入して発光する現象。特に明るいものを火球、放射点から複数星が飛び出していくものを流星群と呼ぶ。秋の季語とされるのは、8月半ばに三大流星群の一つであるペルセウス座流星群が見られるためか。秋の澄んだ夜空も観測に適しているためと思料(冬も星がきれいですが、寒空でじっと流星を待つのは…つらいですね)。
★傍題の違いを分析してみました。
・流れ星:五音で上五、下五に使いやすい。ゆったりした調べ。やや子供っぽい呼び方。
・流星:助詞を一音付けて上五に使いやすい。R音とS音がきれいで、勢いがある。個人的には最も流れ星の実体の印象に近い。
・星飛ぶ/星流る:動詞が入ることでより星の動きに焦点が置かれる。動詞の活用によりニュアンスが変えられる。
・夜這星:艶っぽい。人が誰かを恋しく想い魂が抜け出していくとの言い伝えから、人の想いにより焦点が置かれる。
私の歳時記に載っているものは以上ですが、他にも星の嫁入り、縁切り星、雉星など俳人心をくすぐる様々な異称があるようです。
★古くは枕草子にも記述があり、「願い事が叶う」として日本人に親しまれてきた。流れ星を歌った歌も沢山ありますね。一方、諸葛孔明の有名なエピソードのように、死の予兆、不吉という見方もあります。発表週にはどんな願いを込めた綺羅星のごとき佳句が並ぶのでしょうか。

季語六角成分図に関する注意事項


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