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季語六角成分図「鰻」

俳句ポスト 第241回 2020年4月2日週の兼題。

「鰻」季語六角成分図より。
(視覚)濃灰色の細長い体をくねらせる様、てらてらとしたぬめり。顔はアップでみると意外と可愛らしい。養殖池やハウス、浜名湖。掻く、捕る、釣るなど捕獲の様子や割き、炭火で焼く調理の様子。料理。
(嗅覚)川や池、潮、泥の匂い。香ばしいタレの匂い。
(聴覚)くねて跳ねる音、波音、ジュウジュウ焼ける音。
(触覚)粘り、ヌルヌル。
(味覚)蒲焼、白焼き、ひつまぶし(あぁ、お腹空いてきた…)。炭の香ばしさ、タレ、山椒、七味。
(連想力)夏負けを防ぐ、江戸っ子、浜松や深川、乱獲による絶滅危惧種。
★文化的・歴史的・生態的背景知識や雑学が調べれば調べるほど出てくるし、五感もびしばし刺激してくる季語です。通常、料理は生活季語に分類されることが多いと思いますが、鰻の例句には食も調理も出てきて、とにかく景色が広い。食材という意味では鱈場蟹に似ているかもしれませんが、日本人にとってより思い入れの強い季語ですね。
なお、鰻(動物・三夏)に対し、土用鰻は晩夏の生活季語。ただし、ウナギの旬は本来晩秋なのに夏の季語になったのは土用の丑の日の影響なので、あまり季語として違いがない気がします。例句を見ても境があいまいな句も多く、その違いをどう考えるか、悩ましいところです。

季語六角成分図に関する注意事項


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