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季語六角成分図「蛇」

俳句ポスト 第261回 2021年4月20日週の兼題。

季語六角成分図「蛇」より。
(視覚)長い胴体、細かい鱗、二つに分かれた舌、煌々とした目。うねうねにょろにょろ、巻き付き締め上げる、がばりと顎を大きく開き、咬みつき咥え込む、草むらを這い、川や海を泳ぐ。蛙、鼠、鳥の雛などを丸呑みし膨れている腹。農家で鶏卵を狙うことも。子供が振り回す。
(嗅覚)危険を感知して臭いを出す種もいる。土、水、草の匂い。
(聴覚)シャーシャーという威嚇音(尾から出る音。蛇は声帯がないため声ではない)。
(触覚)ざらざら、しっとりとした蛇皮。ひやりとしている。はちきれるような力強い筋肉の躍動。
(味覚)美味しいらしい。
(連想力)水神、家の守り神、田の神、医術の神など神性を持つ一方、毒を持つことから畏怖の対象でもある。八岐大蛇、アスクレピオス、メドゥーサなど蛇に関係する神や怪物は世界各地に存在。死と再生、知恵、富、金運、幸運の象徴とも、聖書から誘惑の象徴とも。

★爬虫綱有鱗目ヘビ亜目に分類される総称。蝉や茸などと同じく、みんな大好き(あるいは扱いに困る)集合名詞。視覚、連想力、触覚が強い。へび、くちなはと二音、四音で使えるので使いやすいですが、二つの呼称の印象の違いには注意したいところです。その他傍題も多数(ちなみに蝮は別季語)。
★四肢の退化した形態のためか、毒を持つためか、常に苦手生き物の上位に入ります(ちなみに私は平気なので、こんなに嫌われていて可哀そうだな…と思う)。蛇が苦手で作れない!という悲鳴がSNSから聞こえてきましたが、例句を見ると過去の俳人たちもそうだったようです。
★過去の兼題の中でもトップクラスで例句が多かったです。自由自在で崇高な蛇。毒を持ち人を唆す蛇。様々な側面を持ち、俳人心を刺激する兼題ですね。

季語六角成分図に関する注意事項


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