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季語六角成分図「浴衣」

俳句ポスト 第263回 2021年6月20日週の兼題。

季語六角成分図「浴衣」より。
(視覚)椿、朝顔、菖蒲、紫陽花など花や、古典柄の縞や絞りなど、鮮やかな染模様。素肌、素足、まとめ髪。下駄、夏帯、団扇や扇子。お祭りや花火大会、盆踊りの賑わい。縁側の蚊遣や西瓜。時間は夕方~夜か。
(嗅覚)木綿の布の香ばしいような匂い。樟脳、汗、蚊取り線香。
(聴覚)布擦れや下駄の音、風鈴。花火の破裂音、祭りの太鼓や笛、人の賑わい。
(触覚)木綿のぱりっ、ごわっとした肌触り。なお、現在は麻、絹、ポリエステルなど素材も様々。湯上りのほてる身体、汗ばむ。風の涼しさ。
(味覚)なし。
(連想力)気安さ、リラックス、気だるさ、夕涼み。色気、可憐さ。もの思う心。和裁。

★触覚、視覚が強く、嗅覚や聴覚もある。木綿で作られた単衣で、元は夏の家庭着として湯上りに、あるいは寝巻きとして着るものだった。近年は夏の略式の外出着として定着。
★傍題の湯帷子は、平安時代蒸し風呂に入るときの衣として使われていた。その他藍浴衣、紺浴衣、白浴衣など色を加えた形や、古浴衣、糊浴衣など状態を加えた形、初浴衣、借浴衣などの条件を加えた形など、多数の傍題がある。私の歳時記には宿浴衣は季感が乏しいとありましたが、例句はちらほらあります。他に五音にするには「浴衣着て」「浴衣かな」「浴衣の子」などの手がある。
★大きく分けて、家庭着としての浴衣、外出着としての浴衣2つの方向性がありそう。前者の場合、くつろいだ中の身体感覚や物思い、後者の場合、花火大会や祭りが定番。
いずれにしろ、上記の分析に上げたように浴衣の周辺には別の季語が沢山出てくるので季重なりや類想に注意したい。
と、言いつつ例によって全然句ができない私…

季語六角成分図に関する注意事項


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