見出し画像

季語六角成分図「卒業」

俳句ポスト 第259回 2021年2月4日週の兼題。

季語六角成分図「卒業」より。
(視覚)
場所;式場、体育館、空っぽの教室、校舎。
人;卒業生、親、先生、来賓、通りすがり。
服装;制服、第二ボタン、袴、スーツ、コサージュ。
もの:卒業証書、証書筒、桜、花、カメラやビデオ、黒板、椅子。
表情:涙、笑顔、寂しさ、安堵感、決意。
(嗅覚)校舎の匂い。花の香り。
(聴覚)祝辞、答辞、拍手。歌;校歌、仰げば尊し、旅立ちの日に、3月9日など多数。楽器演奏(ピアノが主か)。泣き声、お礼、励まし。
(触覚)証書の紙の感触、硬い椅子や机、冷たい床や風。
(味覚)しょっぱい、ほろ苦い。豪華なご飯が出たりして。
(連想力)別れ、思い出。通過儀礼、進路、上京、新しい世界、旅立ち。約束、何かを託す。卒業制作、卒業旅行。

★視覚、連想力、聴覚の順に強い。四音または五音の複合語で使い勝手がいい。通常は人生で何回か経験する重要な通過儀礼で、人それぞれの思い出や感慨があり、あるあるネタも沢山。
一方で、上で挙げたような言葉はほぼ類想ワードであり、どこに焦点を絞ってオリジナリティを出すかが思案のしどころ。また、感情過多、語りすぎに陥りやすい季語だと思うので、少し突き放して詠むくらいがちょうどいいかも。
★卒業期という傍題があるとおり、時間の幅がある程度広いなぁと思いました。前夜を詠んだ句「卒業の前夜に流す涙かな 宮田珠子」や卒業からだいぶ経った句「口に出てわれから遠し卒業歌 石川桂郎」などがあり、まだ時代による変化もあります。幼稚園、小・中・高校、大学によっても違う趣があり、詠み分けられればベスト…言うは易く行うは難し。あー今回も何もできてな~い。

季語六角成分図に関する注意事項


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?