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季語六角成分図「雛祭」

俳句ポスト 第270回 2022年1月20日週の兼題。

季語六角成分図「雛祭」より。
(視覚)内裏雛、三人官女、五人囃子、随身(左大臣・右大臣)、仕丁(三人上戸)、立つ・座る・古い・紙・糸・木彫など様々な雛人形、
金屏風、雪洞、高坏、銚子、横笛、鼓、桜・橘・桃の花、箪笥、鏡台、重箱、御所車など様々な雛道具・雛飾、
七段の高い棚、緋の毛氈、和室。女の子、客たち
(嗅覚)桃の花の香り、宴会料理。
(聴覚)歌声、手拍子、楽器の音色。宴会のさざめき、笑い声。
(触覚)人形を持つ・撫でる・飾る・折る手。衣装の絹や毛氈の毛羽立ち。
(味覚)菱餅、雛あられ、蛤の吸い物、ちらし寿司などの行事食。白酒、甘酒
(連想力)女児の成長・嫁入り道具、穢れを祓う・災厄を避ける、地方色、華やぎ、水の流れ。

★三月三日に女児の息災を祈って行われる行事。視覚が強く、連想力、味覚、触覚などもバランスよくある季語。
★中国の上巳節(水辺で穢れを祓う習慣があった)が日本に伝わり、禊の神事と結びつき、人形(ひとがた)で身体の穢れを祓い川や海へ流す宮中行事となった。また、平安時代から貴族子女の雛を用いた遊びがあり、それと結びついたとも。江戸時代前後より、女児の健やかな成長を願う行事として定着。
★時代によっても地域によっても様々な風俗があり、雛飾、雛料理、行事etc...の内容がとにかくバラエティ豊か。野遊びして弁当を食べたり川に雛を流したり、早く雛を片付けないと婚期が遅れたり。
★傍題がこんなに多い季語も珍しいのではないでしょうか。どの題をどう取り合わせるか、丁寧に考えたいですね。雛祭という兼題に真正面から取り組むなら、上記の情報を全て含む大きな季語として、季語以外の措辞で視点を限りなく絞るか、あるいは全く違うものを取り合わせるかでしょうか。

季語六角成分図に関する注意事項

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