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季語六角成分図「鮫」

俳句ポスト 第253回 2020年10月29日週の兼題。

季語六角成分図「鮫」より。
(視覚)大きく開く口、顎、鋭い歯。ゆったりと泳ぐ。むき出しの鰓孔。機能的な背鰭、尾鰭など。眼の瞬膜。青い荒れた冬の海。魚市場、漁、船。
(嗅覚)非常に嗅覚が優れている。血、生臭さ。死ぬとアンモニア臭がする。
(聴覚)肉をえぐり、骨を砕く激しい攻撃の音。
(触覚)鮫肌。ざらざらとした鱗は効率的な泳ぎを可能にする。やすりや刀剣の柄に使われている。
(味覚)フカヒレ、かまぼこの材料、刺身、湯ざらしなど。淡白な味らしい。低カロリー高タンパクで栄養素が豊富。
(連想力)ハンター、ギャング、殺し屋、死神、刑事。電気(※鮫は、ロレンチニ瓶という器官で電場を感知することができる)。刀、武器。凶暴性、幻想、虚無。
★視覚が強く、次に嗅覚と味覚、連想力。進化の粋を集めたような泳ぎに特化した身体を持つ美しき海の捕食者。冬の海の烈しさを代表する存在でしょうか’(なぜ冬の季語なのかはよくわからず。旬も様々みたいだし…)。荒々しく凶暴なイメージがありますが、一部の危険な種を除き無闇に人を襲うことはなく、かなり知能も高いようです。
★多様な形態や習性、雑学がとても面白い!一方、とらえどころが難しい集合名詞(茸や蝉を思い出そう)。青鮫や撞木鮫などの種名が詠まれた例句もあります。
★中でも金子兜太先生の「梅咲いて庭中に青鮫が来ている」はあまりにも忘れがたい句です。元々は漁や市場の風景を詠んだ句が多かったようですが、先の句のように幻想的な例句も多く、憧れや畏れの象徴的存在なのでしょうか…ちなみに私は因幡の白兎を思い出します。また、季重なりの句がとても多く、うーん、元々冬の季感が弱いのかしら。これは困ったぞ。

季語六角成分図に関する注意事項

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