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三冊目 『 滔々と紅』

志坂圭『 滔々と紅』

二冊目に続き、ディスカヴァー文庫から。
吉原に売られた少女が花魁に成長していくお話。
文句なしに面白かったです。

舞台となる吉原について、私はそこまで知識がない。映画の「吉原炎上」を二度観たことがある程度の私でも、さらさらと読めました。

出世に伴い名前もどんどん変わるため、名前に慣れた頃にお話も進んで名前が変わっていきます。初めはこれに慣れなかったけど、そんなこと直ぐに気にならなくなるくらいに引き込まれるお話でした。
気付けば最後まで一気読み。

駒乃の勝ち気な性格、長いものに巻かれるだけではないところは、ひやひやドキドキ。
主人公だからそんな簡単には死ぬことはないだろうと分かっていても、当時の環境や吉原という場所のしきたりで登場人物がどんどんと死んでいくので……。
お話の最後はハッピーエンドです。ご安心下さい。

この先どんな辛いことに巻き込まれるんだろう、とそわそわしつつも、こんな駒乃だからこそ、こうしてどんどん出世して生きていくことが出来たんだろうなぁ思います。
他にも先輩の花魁や、禿や、お客、人間味のある登場人物ばかり。先の書かれていないあの人はどうなったんだろう、と気になる人も。
私はちょこっとだけ出てきた松吾郎さんがとても好きになりました。

男気とは。花魁の意地と格とは。駒乃の生き方で、普段考えないことに思いを馳せるきっかけになりました。うーん。

こちらは志坂さんのデビュー作のようです。もう一冊ディスカヴァー文庫から『沖の権左』も出版されている模様。同じ作家さんの他の作品も読んでみたいと思える読後感でした。

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