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役者は人目にさらされて劇的に成長していく

前回説明した通り、舞台「苦悩教室」(たぶん、この時点ではタイトルも決まってなかったはず)は、ボランティアのメンバー主体で進められていました。

ところが、なまじっか「演劇経験者」が紛れ込んでいたものだから、余計にややこしいコトになっちゃったんです。舞台の作り方や練習方法で意見がわかれて、スムーズに進まなくなってしまいました。

その中でも特殊な立ち位置だったのが、「番長」「キザオ君」でした。


熱血番長役の番長は、元々映像作品で子役をやっていたこともあり、ボランティアのメンバーの中でも演技力が高かったんです。そもそも、何をやらせても上手くこなしちゃう万能タイプだったし。

音楽バンドを組んでギターを弾いてた経験もあり、お客さんの前に立って演奏したことが何度もあったんです!

これ、もうほんとに強くて!家でどんなに練習しても、それだけじゃダメなんです!演劇でも音楽でも芸人でも、なんでも同じなんだけど、「観客の目にさらされる」ってムチャクチャ経験値が入ってくるんですよ!ひとりで練習してる時の100倍くらいの経験値!

たとえば、学校の先生なんかもそうなんですけど。机にかじりついてどんなに勉強してても半人前で、教壇に立って生徒たちの視線にさらされて授業を行って、ようやくプロの領域なんです。


一方、キザオ君の方は「演劇経験者」のグループ。ただし、役者としての経験だけでなく、演出家までこなしていた!その上「演出家絶対主義者」だったんです。

自分が演出を担当する時には「鉄の軍団」を作り上げ、「命令には絶対従うように!」と絶対王政を敷いたんですけど、逆に自分が役者をやる時には演出家の言葉が絶対なので素直に従うんですよ。

さらに、ボランティアの方にも参加していて、これが功を奏した形になります。ある意味、コウモリみたいな立場だったんですけど…演劇もボランティアも経験していたことで、両方の人たちの気持ちが理解できたんですね。

なので、青年が目指した「自由な演出」にも協力的な立場でした。これは非常に助かりましたね~


以上の理由を踏まえて、表の主人公を番長。裏の主人公をキザオ君で行くことに決めました。

熱血番長の方は、以前にあった通り「フラリと風のように転校してきて、厳しい校則で縛られた学校に変革をもたらし、再び風のように去っていく」っていう、いわば革命家としての役どころです。こちらは、誰がどう見ても明らかにメインキャスト!

対して、今回の舞台でキザオ君が担当してた「ガリ勉のガリ男君」って役。これも重要な役なんです。出番も多いし、ストーリーの太い骨組みになっていたので。そこはキザオ君の演技力を信頼して、この重要な役をまかせました!

で、「苦悩教室」って群像劇だったので、それ以外のメンバーにもそれぞれ見せ場を作ってあげて、「誰が欠けても成り立たない舞台」に仕上げていきました。

そうすると、1人1人の出番は減っちゃうんですけど、結束力は高まっていくんですね。まさに、青年が目指した「水のような関係」を体現した形。


こうして舞台「苦悩教室」は、内部分裂を起こしつつも、台本が徐々に完成していき、ケンカしながら練習も進んでいくという奇妙な形で進んでいきます。

ところが、ここでもう1つトラブルが起こっちゃって…

実は、この時、この物語の主人公である青年はアメリカに旅に行くことになってたんです。台本もまともに完成しておらず、練習も真っ最中の時期に!

なので、演劇グループの3人(美嘉ちゃん・和歌山君・山梨さん)から余計に信頼を失うわけですよ。

「この重要な時期に演出家が私用でいなくなるとか、どうなってんの!?」みたいに。

でも、青年の人生にとっては必要だったんです!いろんな経験をしないと、「世界最高の作家」にはなれないんだから!(この時のアメリカの旅は、演劇編が終わってから詳しく語ります)

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。