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新宿の中央公園でフリーマーケットに参加してお金を稼ぐ

「シノハラさんの講演会」が終わって、一段落着いた青年。これで、肩の荷が1つ降りました。

実は、このコトにより爆弾を1つ抱え込んでいたのですが、この時点で青年は気づいていません。

それよりも、次のスケジュールをこなさなければなりませんでした。手帳は毎日予定でいっぱいなのです。


次は「フリーマーケット」

新宿の中央公園にスペースを借りて、要らない物をお金に換えるのです。こんなコトもあろうかと、事前の準備はバッチリでした!渋谷区のボランティア団体にお願いして、不用品を集めてもらっていたのです。

当日、あの人も山のようにぬいぐるみを持ってきてくれました。大きな段ボールいっぱいに詰まったぬいぐるみの数々。

きっと、これまで大切にしてきた品なのでしょう。なのに、この活動のためにわざわざ提供してくれたのです。そんなところも自己犠牲の塊みたいな人でした。

「『おかあさんは、こんな物売れなやしないだろう』って言ってたんです。でも、そんなコトないですよね?」と、あの人が言ってきます。

「大丈夫!大丈夫!ちゃんと売れるから!」と、青年は軽く答えます。

青年とあの人と浜田君の3人は、がんばって荷物がいっぱい入った段ボール箱を新宿の中央公園まで運びました。

でも、値段をいくらにすればいいかわかりません。仕方がないので、適当な金額をつけて売ることにしました。

渋谷区のボランティア団体でもらってきたお皿やコップなどは500円程度。あの人が持ってくれたぬいぐるみは1個300円にしました。

「字が汚いから、君が書いてくれる?」と青年はあの人に頼みます。彼女は喜んで値札を書いてくれました。

今になって考えると、もっとこういうコトを頼めばよかったんです。彼女は人に頼られることで幸せを感じるタイプの人だったので。人に頼られ、行動し、褒められることに至上の喜びを感じるような人でした。

時に、自分の身を犠牲にし過ぎるくらい尽くしてしまうのです。そういうところも青年に似ていました。


さて、フリーマーケットですが…

お店を開くと、さっそくお客さんがやって来ました。新宿のオフィスビルで働いてそうな雰囲気の若い女性のお客さんです。

「え?このお皿が500円なの?大丈夫?安過ぎない?」みたいなコトを言ってきます。

「しまった!これ、結構高級なお皿だったんだ。渋谷区の保護司さんたちが集めてくれた物だから、きっとブランド物だったんだ!」と思いましたが、時すでに遅し。

「あ、大丈夫ですよ!その値段で持っていってください♪」と、青年は答えました。

その調子で、おそらくブランド物であろうお皿やコップは次から次へと売れていきます。物の価値をちゃんと知っていれば、何倍も利益をあげられたのかもしれないのに、もったいないお話ですね。

あの人が持ってきてくれたぬいぐるみもどんどん数が減っていきます。300円で売れ残ったぬいぐるみは、お昼過ぎに200円に。さらに、夕方近くには100円に値下げして、8~9割くらいは売れてしまいました。

「お母さんは売れないって言ってたけど、やっぱりちゃんと売れましたね♪」と、あの人もとてもうれしそうにしています。


そういえば、このフリーマーケットでちょっとした偶然がありました。北区のボランティア団体の女性メンバーが同人誌を出していたのです。内容は忘れてしまいましたが、確か詩とかエッセイが何篇か載っていたのではないかと思います。

それと同時に「毛糸で編んだ小さな小銭入れ」も売っていました。青年はおそろいの小銭入れを3つ購入し、自分とあの人と浜田君に1つずつ渡しました。


フリーマーケットの翌日…

家にやって来たあの人が「あ!」と声を上げました。

「かわいい子犬のぬいぐるみ!あなたにもらって欲しかったのに!きっと売れちゃったんだわ…」と、とても悲しそうな表情をしています。その時の顔は一生忘れることはないでしょう。

子犬のぬいぐるみは残っていなかったので、代わりに余り物の別のぬいぐるみをもらって部屋に飾りました。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。