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ユメミアゲハ

この時に『伝説の悪魔』が自らの心の一部を切り出して生み出した『紫色の蝶』は、次の進化を遂げます。

その名は『ユメミアゲハ』

夢と現実の壁を超えて、世界から別の世界へと飛び渡る能力の持ち主です。相変わらず戦闘能力は持ち合わせていませんでしたが、人々を導くなどして、いくつかの物語に登場することになります。

同時に、青年はインターネット上での名前をユメミアゲハとしました。この頃の青年にとって、インターネットは「夢と現実の狭間の世界」に他なりませんでした。

そう!『僕の改革 世界の改革』で舞台となった世界です。だから、名前を変えれば、他の人たちには同一人物だと思われず、名無しの意見は聞いてもらえないのです。


青年は生涯を通して、変化が激しい部分がありました。次から次へと名前を変え、同じ時期でもいくつもの世界に出入りし、全く別の人々との交流を楽しむのです。

「楽しむ」と言っても、いつも仲良くしてばかりではありませんでした。ネット上(あるいは現実の世界でも)次から次へとケンカを吹っかけたり吹っかけられたりして、バトルを楽しむのです。もちろん、物理的な戦闘ではありませんけどね。

口ゲンカで負けるということは、まずあり得ません。ありとあらゆる攻撃手段と防御手段を持ち合わせているのです。本気を出せば大抵の勝負に勝利することが可能。だからこそ、いつも手を緩めて戦うのです。

どうしても勝てない相手が現れた時には、相手の物の考え方から性格から人生から丸ごと吸収してしまえばいいだけのコト。なにしろ、空想世界では絶対無敵を誇るあの『伝説の悪魔』であるのですから。


青年の持つ空想世界は日に日に広大さを増し、現実世界に影響を与え続けます。空想のほんの1%でも現実に影響を与えることができれば、それはとんでもない力となるのです。

そうやって、青年はどこまでもどこまでも自分の空想世界を広げ深めることに没頭しました。そうして、現実の世界に住む自分や自分に関わる人々に影響を与え続けたのです。

「影響力」別の言い方をすれば「変革」

『僕の改革 世界の改革』で主人公である『僕』が、世界中の人々に多大な影響を与え、変革をもたらしたように、青年もまた周りの人々に変革をもたらします。

大なり小なり、青年の人生に触れた人たちは、自らの人生を変化させてゆくことになるのでした。これもまた全てを物語化する「ハンズ・オブ・ミダス」の能力の一端。

そんなでしたから、青年の人生に触れ続けると、大抵の人はヘトヘトに疲れ果ててしまいます。変化には膨大なエネルギーを必要とするのです。そうして、自然と青年の前から姿を消していくのでした。

青年は、その行為を「舞台から降りる」と表現します。舞台を降りる役者がいる一方で、新しく舞台に上がってくる者も現れます。

「人々は、舞台に上がったり降りたりを繰り返す。なんと変化の激しい人生だろうか。これが、我が運命か…」と、青年はひとりポツリとつぶやくのでした。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。