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人の影響は連鎖し、誰もが無意識に人を利用する立場になり得る

あの人は、青年のコトを無意識下で利用するようになってきました。

「あ、この人はボランティア要因として使えるんだ!私のコトを好きだから、全力でお願いすれば、望みをかなえてくれるんだわ!でも、恋人は別に作るからね♪」という心理を生み出してしまったのです。

あるいは、それはある程度意識してのことだったのかもしれませんし、邪念など一切ない完全に純粋な思いだったのかもしれません。そこのところはわかりません。

それが、彼女の持つ特殊能力「ナチュラル・チャーム」の恐ろしいところなんです。

「みんな仲良く世界を平和に(ナチュラル・チャーム)」
意識してか無意識かにかかわらず、自分の周りの人間たちを「大いなる目的」のために自然に操る。代わりに、自らもその命を削りながら犠牲を強いられる。
たとえば、「世界平和のため」「国家のため」「子供たちのため」「世界を変えるため」に、徹夜でクッキーを焼いたり、毎日のように料理を作ってあげたり、身を粉にして働いたりする。

あの人がやったことは、操作系能力の一種であり、人を意のままに操る行為だったのかもしれません。善悪は別にしてね。

でも、この関係、何かに似ていませんか?

そう!これって、かつて青年があの人にやり続けていたことじゃないですか!

「世界を変えるため」と称し、毎日のように料理を作らせ、奴隷みたいに扱っていたあの日々。それが当たり前になり、感謝すらしなくなってしまった。青年本人にその気はなくとも、結果的にはそういう関係になってしまっていた。無意識下で利用してたんです!

そして、これと同じ関係は別にもありました。


遠い昔の記憶。

少年時代のあの日々。11歳の秋から受験戦争という名の地獄に巻き込まれた時代。あの少年と母親の共生関係も、これにそっくりでした!

あの母親は、自らの息子を「有名な進学校に通わせる」という自分の夢につき合わせ、代わりにありとあらゆる形で援助し続けました。欲しいものはなんでも買い与え、身の回りの世話も全部やり続けて。

母親の持つ「マリオネット&ドール」とあの人の持つ「ナチュラル・チャーム」は非常に似通った能力だったんです!

青年は知らず知らずの内に、自分の母親と同じような人を好きになってしまっていたのでした。

男が自分の母親に似た女性を好きになるって、よくあるコトなんです。ただ…

「見た目が全然違うから気づかなかった」だけで!


記憶はさらに遠い昔にさかのぼります。

青年の両親。母親と父親の関係。青年が少年よりも、もっと小さな子供だった頃のお話。

実は、あの母親は父親の言いなりでした。父親は外でマジメに一生懸命に働いてお金を稼いでくる代わりに、自分の妻に「家に居ながらにして家事や育児を完璧にこなすこと」を要求します。絵に描いたような夫婦関係です。

でも、結果的にその関係は破綻をきたします。そうして、母親は外に働きに出るようになり、夫婦の力関係は逆転してしまいました。もはや、夫の言いなりになどなりません。それどころか、自分の意見を「絶対」だと信じ、全てを意のままに操るようになります。

そして、自らの子供に夢を託し、見事な受験戦士が誕生したというわけです(このあとのコトは、みなさんもよくご存知ですよね)


歴史は繰り返す!

無意識下で青年は自分の両親のマネごとをしてしまっていたのです。


さらに言えば、母親の母親(青年から見ると祖母)の影響もありました。青年の祖母は、やはり「世界の中心は自分だ!」という性格の人だったのです。

おかげで、辛く厳しい時代を乗り切ることができました。あの太平洋戦争の最中、夫婦で満州まで渡り、戦後の混乱と地獄の日々を生きて日本まで帰りつくことができたのです。

その後も、片田舎で商売を営み、見事にお店を成功させることができました。子供たち3人を立派に育て上げもしました。全ては信念を持っていたおかげ!自己中心的な性格のおかげだったのです。

むろん、祖母の性格は娘(つまり、青年の母親)へと受け継がれます。


人は人に影響を与え、連鎖するんです!親から子へ!子から孫へ!祖父母のその前のそのまた前の時代から、孫のその後のそのまた後の時代まで!

「正の連鎖」も「負の連鎖」も!そのくらい人が人に与える影響力の大きさというのはとてつもないものなのですから…


もっと言えば、血縁関係や家族だけではありません。

「恋人」「友人」「親友」「仕事仲間」「ボランティアスタッフ」などなど。この世界で出会った全ての人間関係は、他の人たちに影響を与えてしまうのです。

たとえば、「キザオ君と城山君の関係」を思い出してみてください。青年とあの人の関係に似ていませんか?

一方が一方を心理的に支配し利用する。あるいは、お互いがお互いに相手を都合のいいように扱ってしまう。最初は悪気なんてこれぽっちもなかったとしても、いずれそういう関係になってしまうんです。

そして、青年はあの時の戦いで城山君やキザオ君の能力も吸収してしまっていたのでした。「魔王の力で、相手をコテンパンにのした」つもりでいて(事実、そうだったかもしれませんが…)同時に相手の能力や性格を自分のモノにしていたのです!

そう!これもまた青年の持つ特殊能力の1つ。

「心と心が強くつながり合った相手」の能力や性格を吸収してしまう力。

意識しているかしていないかに関係なく。長く時間を共にした相手や、大きな感動を与えてくれた人、激しいケンカをした者などの影響を色濃く受けてしまうのです!

そうやって青年は世界を吸収しながら生きていました。

その結果、さらなる進化を遂げていくことになります。あるいは、それはバケモノだったかもしれないし、仙人のようなものだったかもしれません。もしかしたら、神にも等しい存在だったかも?

青年がどのような姿に進化したのか。それは、この物語を最後まで読んだ時、読者のみなさんが決めてください。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。