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神殺しの剣をもってして、創作の神に挑む

『ヘイヨーさんの人生』という作品には、これまで学んできた全てを注ぎ込みました。

『僕の改革 世界の改革』『レユレユとソフィア』『伝説の悪魔』『夢見市物語』『勇者アカサタ』『小説読み師ミカミカ』などなど…

ストーリー・キャラクター・世界観・設定・ネーミング技術といった能力の全てを総動員し、今後数百年に渡って読み継がれる「世界最高の作品」を目指して執筆されているのです。

「この作品をもってして、創作の神を倒し、その座に取って代わる!」

そのくらいの勢いでした。

…かといって、焦ることもありません。かつての経験から、短期間に集中して書いても長続きしないし、作品のクオリティを上げられないコトはよくわかっていました。

「シルクロードの行商人」の能力を使って、毎日確実に(1日も休むことなく)書き続けました。


いつも頭の中にあったのは「伝説の悪魔」の姿。

伝説の悪魔は、かつて自分が住んでいた空想世界へと戻ってきていました。
世界は荒れ果てた大地と化し、住む者もほとんどいません。
ほとんど誰もいない世界に、巨大魔法陣を生み出そうというのです。

伝説の悪魔は、いつ果てるとも知れぬ作業に毎日没頭し続けました。
来る日も来る日も、大地に向かって魔法陣を描き続けます。
「この魔法が完成すれば、必ず何かが起こる!」と信じて。

超巨大魔法陣が完成した時、何が起こるのか?
それは、伝説の悪魔自身にもわかっていませんでした。
今度こそ本当に世界を変えるかも知れないし、世界を滅ぼしてしまうかも知れません。あるいは、もっと別の何かが起こるのかも…

「もしも、世界が滅んでしまった時のために、細工を施しておく!直接空間に刻み込む!」
伝説の悪魔が魔法陣を描いていたのは、実際には大地ではなく空間そのものでした。こうしておけば、たとえ世界が滅んだとしても、魔法陣自体は残り続け効果を発揮します。
それは、狂気とも言える作業でした。誰のため、なんのためにやっているかもわからず、ひたすらに空間に呪文を刻み込んでいくのです。

「まさに狂気だな…」と、ヘイヨーさんは、ひとり部屋の中でつぶやきました。

でも、頭の中のイメージで「伝説の悪魔が黙々と作業を続けている姿」を思い浮かべるたびに勇気が湧いてくるのです。そうやって自分の姿にシンクロさせて執筆を継続させました。

         *

そうして、10ヶ月以上の時が過ぎました…

99.9%の執筆作業が終わり、ついに物語は完成の時を迎えようとしています。創作の神に勝負を挑む時がやってきたのです。

「あの日、頭上に落ちてきた『ダモクレスの剣』は拾っておいた!」

※この時の剣


「ダモクレスの剣は、今や『神殺しの剣』へと進化した!この剣をもってして、創作の神に挑む!」

そう叫ぶと、ヘイヨーさんは(伝説の悪魔は)単身「神の住まう神殿」へと乗り込むと、創作の神の頭上目がけて、手にした剣を突き出しました。

カラ〜ン!

剣は、創作の神の頭をかすめ、神がかぶっていた兜を吹き飛ばしました。兜は、そのまま地面へと落下して乾いた音を響かせました。

「お、女…!?」

なんと、創作の神は「女神」だったのです。

その瞬間、全てを悟りました。

「なるほど…ずっと創作の女神に恋をしていたというわけか」

そのコトを悟った時、全てがバカバカしくなってしまいました。

「や〜めだ!やめ!」

創作の神が女神だと知って、ヘイヨーさんは手にした「神殺しの剣」を放り投げると、神の神殿をあとにしました。

神にとって代わるのはやめにして、代わりに創作の女神と戯れるコトに決めたのです。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。