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「無限お茶おかわり」の技にハマって、頻繁にトイレに行きたくなる

忙しい日々の合間を縫って、青年は疎遠になっていた人々にも連絡を取るようになっていました。

たとえば、高校時代の友人たちです。高校は途中で辞めてしまったのですが、それでもなんとなく関係は続いていました。彼らの多くは大学に合格し、全国各地に飛び散っています。特に東京近郊や大阪・神戸辺りでひとり暮らししている人が多かったのです。

青年は自分の家に高校時代の友人たちを呼び寄せました。横浜や千葉、茨城県のつくば市などに住んでいる人がいたので、新宿まではみんな1時間程度で出てこれます。

新宿の東急ハンズでボードゲームを購入し、青年の家で一緒に遊んだりしました。その際に「例のあの人」の話もしました。

ボランティアで出会って、一緒にふたりで会って、バレンタインの時にチョコレートケーキをもらったり、手摘みのお茶をもらったりした話です。

手摘みのお茶というのは、あの人が静岡の親戚の家に行った際に、お茶の葉を摘んで、それを加工して真空パックにした物をプレゼントしてくれたのです。

「これって、最高の好意じゃない?」と青年がニコニコしながら伝えると…

「やれやれ、のろけはたくさんだぜ…」みたいなコトを友人たちから言われました。

         *

合間合間にそんなコトをしながらも、「世界を変える戦い」は続いています。

あの人は、よくお茶をいれてくれました。

急須にお茶の葉を入れて、お湯を注ぎ、湯のみにお茶をいれてくれるのですが…

それが、バッチリナイスなタイミングでそそいでくれるのです。

「あ、お茶少なくなってきた!」と思ったら、注ぎ足してくれるので、いつまで経ってもお茶がなくなりません。

あの人がお茶を注ぐ
  ↓
青年がお茶を飲む
  ↓
お茶が少なくなってくると、あの人がお茶を注ぐ

無限ループ!!

それも、心の底からうれしそうにニコニコしながらお茶をいれてくれるので、非常に断りづらいのです。

ここがキャバクラだったら、何十杯もお酒を頼んじゃって莫大な金額を請求されちゃってるところ!

でも、無料(ただ)なんです…

ニコニコしてるのを断るわけにもいかないので、青年は何回もおかわりしちゃって、頻繁にトイレに立つようになりました。

そもそも、お茶をいれるのとご飯を作ってくれる以外の役割を用意してあげられなかったのも悪かったのですが…

あまりにも忙し過ぎて、そこまで頭が回りませんでした。


そういえば、ご飯に関しても、もう1つ「悪いコトをしたな…」と思ったことがあります。

あの人は毎日のようにやって来て、日に1度(多い日には2度)食事を作ってくれるのですが、1時間も2時間もかけて作ってくれるのに、食べるのはアッという間なんです。

青年はお腹が空いてるものだから、1~2時間かけて作ってきれた料理を15分もかけずにペロリとたいらげてしまうのでした。


ある時など、サラダにトウモロコシのゆでたヤツが出てきたんですけど、それが缶詰なんです。

あろうことか、青年は「なんだ、缶詰か。ちゃんとトウモロコシをゆでて出してくれればいいのに。手を抜いてるな~」などと思うようになっていました。もちろん、口に出しては言いませんでしたけれど…

ほんと、人って慣れてくると増長しちゃう生き物なんです。最低ですね。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。