見出し画像

大晦日の決心

それからもヘイヨーさんは、小説を書いたり書かなかったりで、執筆ペースは安定しません。決してやる気がないわけではないのです。むしろ、やる気はあるんです!満々です!

でも、「究極の作家を目指す」というエベレストのごとき高き目標と、高過ぎる意識が、持っているエネルギーをカラ回りさせてしまうのでした。

よって、「短期間に集中して書いては、ある日突然、放り出してしまう」という行動を繰り返します。

「さすがに、このままではいけないよな…」と反省したヘイヨーさん。ついに一念発起します。


それは、ある年の大晦日(おおみそか)のコトでした。

「よっし!今日から毎日小説を書き続けよう!それも1日も欠かすことなく!最低でも1年間!」

なぜ、1年の最後の日である12月31日にしたかというと…

「お正月に立てた誓いというのは、大抵、3日で飽きてやめてしまう。それに対して、人よりも1日早く始めれば、1年早く始めたのと同じ!圧倒的有利な立場ならば続くだろう」と考えたからです。

「1月1日」と「12月31日」では、1年差があると決めつけたんですね~

「それに、みんなが年末年始で浮かれている間に必死になって執筆に没頭すれば、もっと楽な日は余裕でこなせるはずだ」という目論見もありました。

「どんなに短くてもいいので、毎日必ず執筆する。最低でも原稿用紙1枚(400文字)以上。それも、日記やエッセイのようなモノではなく『小説』を!」

「最初の3ヶ月で長編小説を1作。次の2ヶ月で、もう1作。さらに次の1ヶ月で1作の長編を完成させる!」

この2つを基本戦略としました。


結果、この戦略はズバリ当たりました!

もちろん、最初は大変でした。わずか400文字だというのに、気が狂いようになりながら、それでもど~しても書けない日があるのです。

そんな日はどうするかって?

もちろん、意地でも書くんです!ありとあらゆる手段を駆使して書き続けました!

筆が止まったら、「裸の大将(山下清画伯)」のパロディをやって場をつないだり。いきなり最終回にしてみたり。と見せかけて、翌日続きを書いたり。妄想爆裂の日があったり。ありとあらゆる「邪法・外法」を駆使しながら、どうにかこうにか3ヶ月間、書き続けます。

しかも、最初は「最低400文字」と思って始めたのが、途中からは1200文字だったり1500文字だったりをスラスラ書ける日が出てきました。

ところが、ここでもう1つの難関がそびえ立ちます。この時には、毎日イラストを入れてたんです。決して技術的には褒められた絵ではありませんが、1話につき1枚ずつ手描きで絵を描いてたんです!

これが、結構重い負担となって、のしかかってきます。小説は書けるのだけど、絵が描けない。あるいは、絵を描くための時間を残すために、文章の方を早めに上げないといけない…といった事態に陥ります。

締め切りは、その日の午後11時59分59秒。毎日、この時間までに必ず小説本文にイラスト1枚を添えて、インターネット上にアップしました。まさに、締め切りに追われる連載作家の生活!

この地獄のような特訓を経て、ヘイヨーさんの執筆能力(ついでに絵を描く能力も)はガシガシと音を立てて上達していきます!

結果、最終日には「全120話、文字数にして8~9万文字の長編小説」1本の完成原稿が手元に残っていたのです。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。