真夏の恋模様はパステルカラー
昼間の猛暑で、夕方には 雨が降り出し
オフィスの窓から ブラインドを少し開けて
外を見ていた
書類も纏め 残業なんて毎日の事で
オフィスを出るのは 何時も僕が最後
電気を消し ロックをしたら
エレベーターで
さて、降り出した雨は まだ止んでいない
ため息ひとつ吐き出し
誰かの忘れた傘を借りて駅まで
長い歩道橋を歩いていたら
雨の中 傘も無く 下を走る車を眺める
少女と出会った
真っ黒な闇に溶け込む服装に赤い髪
歩道橋の手摺を 乗り越えようとした瞬間
手にした傘も、鞄も放り出し
気付いたら少女を止めていた
雨の中 近くのカフェで とりあえず
タオルを借り 暖かいCafe au laitを少女に
僕はブラックをICEで
俯いたままの少女 頭に載せたタオル
席を立ち 少女の後ろへ
タオルで髪をクシャクシャとしながら
濡れたままだと風邪ひくから!
飛び降りようとしていた少女に風邪って
まぁ、変な話しだが タオルドライして
Cafe au laitを 勧めた
無言の時間が過ぎて 名前と 住所の方角を
聞いてみたが 反応は無かった
残業の後 疲れた身体で このシュチュエーション
もう 心身共に ……
少女が小さな声で 何かを
[ゴメン ]もう一度と 聞き直した
「何故 助けたの 偽善ですか?
私には 迷惑しでしか無いんだけど」
まぁ、生きて行くのは 誰でも
キツイ世の中かも しれない!
[あのね、人として あの場所で 黙って
見ている程 まだ腐っては無いからだよ]
位にしか言えなかった
確かに、決意して行動したのだから
迷惑っちゃ迷惑なのだろう!
少女なりの覚悟なのだから
ただ、そこに至るまでに誰かに相談したり
話しを聞いて貰ってるのか?
周りが 少女を追い込んだか、見えないフリを
していたのか………
「貴方に私の何が解るんだよ!」
[いや、何も解らないからこそ
話して欲しい] そう答えたら
Cafe au laitに口をつけて話し出した
家庭の事、親の事、学校の事、世の中の事
少女は少女なりに色々と悩み考え
出した結論だとは理解したが
少しだけ 答えを言うまでに時間が
必要だった
少女が間違っている!とは思わないが
無駄に命を棄てるにゃは早いと思ったが
そもそもが 早いと決め付ける事も
コッチの考えで 自分の都合だろう
1口 Cafeを飲み込み
[君の言う事は解ったよ!
確かに 君を尊重していない行動だった
だけどな、君が目撃した方だっら?
どうしてた?]
少し怒った表情から、困惑した表情へ
そして泣き出した
雨が降る 夏の蒸し暑い夜
カフェでの時間も 1時間を過ぎた
店内に流れるBGMが 夏を強調していた
泣き止んだ少女が「ゴメンなさい ……
ありがとう……」と
少しだけ理解は出来たのかな?
さて、家庭の事情は聞いたが
このまま帰す訳にも行かず
少女を連れて職場へ戻り
途中のコンビニで食糧と飲み物を買い
オフィスの電気を点けて
もう1度 家庭の話しを 細かく聞いた!
家庭内暴力の博打に明け暮れる父親
職業は教師 てきたもんだ……
母親は DVを見て見ぬふりする
勉強しなさい!良い職業に就きなさい
自分が全てだと考える起業家
まぁ 世間的には以外と在るものだろう!
同じ虚遇なら 少女と同じ考えに なったかも
そう思うと ……少女は見た目は高校生かと
思っていたが 20歳の大学生だった
しかも母親の言う通り 偏差値の高い
大学…… 少女が言うには 周りは
自分の事ばかりで、つまらない見栄と
下らない話題ばかりで 自分とは合わないと
下手に頭の良い子だけに そう思えのか
育った環境が そう させたのか?
無責任な大人じゃ無いので
さて、少女の家に 何て言えば良いのやら
無断外泊もマズイし こんな時 何が正解なのか
どう判断したら良いのか 悩むだけ悩んでいた
その横で、徐にスマホで母親に電話する少女
「あママ! 私 今日も帰らないから
パパに クソ野郎と言っといて! 心配しなくても
学校には ちゃんと行くかね〜!」………
え"……今日も? ……唖然としながら
とりあえず聞いた[あ あのさ、君は帰って無いの? 何処で寝泊まりして 着替えとか 色々と…
どうしてるんだい] ……
イマドキの子は20歳ともなれば
店員に注意される事も無くネットカフェに
そりゃあ、そうだろうな……
いや、それ依然に学校さえ行って勉強さえ
してりゃ母親は 文句を言わない?のか…
世間離れな感覚なのか少し理解が出来ない
着替えや、その他 金銭的な事は 母親から
渡されたカードで支払い 本人は
困らない らしい……
そんな優遇された環境でも
少女にゃ重いのだろう!
やっと2時間得て 自己紹介が出来た
少女の名前は ミク 未来と書いてミク
僕も 宜しくと 名前を伝え 手を差し出したが
握手をする関係では無かったらしい……
で、この後 僕は帰りたいし
シャワーも浴びたいのだが…
一応 聞いてみた!
今夜もネットカフェに行くのか
もう飛び降りようなんて しないか!
何故?と 聞き返して来たから
正直に 僕は帰って シャワーして
明日に備えて寝たいと!
ミクは悪戯っぽく上目遣いで
「ふ〜ん 助けた事には感謝してるんだけど
結局 放り出すんだ!厄介だから」
いやいや、違うだろ ……違うのか?
それはそれ!これはこれ!だろ……
結局 着いて来たよ
確かに放っては おけないし
警察に任せようと したが母親の立場が!
そう言われると …… だいたい僕の家にって
初めて会った歳だった15歳違うし
家庭が在るとか考え無いのだろうか?
怖いとか 危ないとか……と聞いてみたが
流石、頭脳明晰 洞察力も良く!僕が指輪を
していない事と、ミクは空手の黒帯……
なら、帰れよ!父親 ぶっ飛ばして1つ問題は
解決だろ!……
あ〜あ 来ちゃったよ
ドン・キホーテで寝間着や洗面用具を買い
リュックから出したPCをコンセントで充電
しながら バスタオルを持って
「シャワーお先にぃ〜!」と ……
あの子 本当に 飛び降りようと してたのか?
段々 疑問に なって来たよ!
ネクタイを外し シャツのボタンを2つ外し
冷蔵庫からビールを出してライムを放り込み
シャワー前かよ …… 何故 僕が……
サッパリした様子で シャワーから出て来た
ミクの髪は金髪で 赤い髪はウイッグだった
僕の手からビールの瓶を取り上げ飲みながら
PCを開き 「シャワーしないと汗臭いよ!」と
言われ……[じゃあ、シャワーして、来ます……
僕の家だけどね!……]
[下手に、余計な物には触れないでね!]と
伝えてシャワーへ ……
何かモヤモヤしたままシャワーから出ると
人のベッドで横になりPCを見ている……
ビールの瓶が3本空になってテーブルに
あの日から
何故か 毎日ミクが居る ……
学校へは確かに行っているらしい!
しかも ……仕事から帰ると……料理が
良く解らない 頭が良く 運動も良く
料理や家事全般も 完璧すぎる才女 …
いや、そう言う事じゃ無くて
何で 僕の家に居着いてるの?
そもそも、鍵なんて渡した覚えが無い!
初めて泊めた日の朝 鍵を閉めてポストへ
とは言ったが ……作りやがったな合鍵を
賢いなぁ〜本当に
日曜日 ……ベッドから起きて来たミクに
ソファーで寝ている所を起こされ
今日、学校も休みなんだけど! 暇でしょ
言われるがままに 代官山へ出向き
麻布へ移動しながら 一言 ……
「ココ アタシんち!」 ……
デカい高層マンション……
ウチの4倍程の高さ ……
果たして 幾ら?なのだろうか……
「寄って行く?持って来たい物も有るし」
……とりあえず、下で待ってます。
中古の古いmini 暑い……って電話が!
[はい、もしもし?]
「アタシ!時間掛かりそうだから
上がって来て!運ぶの手伝ってよ!誰も
居ないから」
何故、電話番号を知ってるんだ……
言われた部屋の番号をエントランスで打つ
マンションにエントランス……
その先の扉が開いた ……エレベーターが
左右に4台……ここ マンションだよな?
エレベーターを31階で降り 部屋のドアまで
そこでまた、呼び鈴を押す
ガチャっと音が鳴り 多分 解除したのだろう
一応、失礼しますと言いながらドアを
開いた ……あのぉ〜玄関が1部屋位の広さ
多分この部分だけで生活が出来そう……
奥から扉を開けてスリッパらしき足音が
[なぁミク ……] ………え" ……誰?
とても清楚な綺麗な女性が
出迎えに出て来た ……[あの、初めまして
僕は ]……
(どうぞ、お上がり下さいな)
そう言われ 長い廊下を歩き 物凄い見晴らしの
リビングへと案内され
(そこにお座り下さいな)
幾らするのだろうか……この家具……
見るからにイタリアンレザーのソファー
座ると身体が沈み込む!
そこへミクが 「おっまたせ〜い」
あの雨の夜 車の波に飛び降りようとしていた
あのミクが 明る過ぎた!
母親 ………
果たして幾つなのだろう?見た目だけなら
僕と変わらない気がするのだが……
(いつも未来が、大変お世話になり
本当に申し訳ありません)
(勉強ばかりで、世間知らず ワガママで
本当に 貴方様には御迷惑ばかりで)
……おいおい! 何このシュチュエーションは?
[いえ、とんでも ありませんであります]
立ち上がり 訳の解らぬ辺な日本語になり
顔が、真っ赤だっただろう!
クスクスっと笑い
(貴方の様な方で 安心致しました。
あの子が、初めて人を好きだと言った理由が
少しだけ解りましたよ。)
あの野郎!
何が、誰も居ないからだよ 居るじゃん!
しかも 凄いのが……この場 どうすんだ?
だいたいな! 好きとか母親に……え"……
好き? なんで ……そうなった?
何故、今 こんな場所で 親に紹介されてるの?
もう真夏なのに 窓か見える景色と
僕の頭に中は パステルカラーだったろう
ごちゃ混ぜの色々なcolorが薄くなり
きっと表現するならパステルカラーだ!
母親と 色々な話しが出来て
ミクの嘘だった父親の事 父親は外交官
海外に済んでいて ギャンブルだの虐待だの
全部が嘘! 母親は 確かに起業家らしい!
ミクは本当に賢いよ
あの子なりに、自分に とって退屈な日常から
面白い事を見付ける事
それが、あの歩道橋で たまたま、僕だった事
ごく一般的な 普通の会社員 別に特技も無く
平凡なハズなんだが!
あの日 声を掛けて来た他の人らは
ナンパか、危ないから止めな!の声だけ
ま、言われてみれば 人が 飛び降りるのを
スマホで撮影するのが 普通になりつつある
今の時代に 本気で止める人って ……
どうなのだろうか?
miniの屋根
母親への挨拶も終わり 何故か
ミクの荷物が車の中と屋根の上に ……
荷物だらけの パステルブルーのmini
可哀想に 重いだろうな こんなに
荷物を積む車じゃないし
で、結局どう言う事なんだろう?
母親の、これからも宜しく御願い致しますは?
この荷物 笹塚の僕のマンションに
入りきるだろうか?
いや、何故運んでいるんだろうか ……
つまりは、母親に気にいられたって事は
解るが、ミクはまだ学生だよ!
外人の父親からは、許可を貰って無いし
ミクが雑誌のモデルだって聴いて無かったし
コレから 僕らは どうなるのよ……
卒業と就職
ミクが首席で卒業した
母親と僕の3人で祝った挙げ句に
僕は職場が変わった ヘッドハンティングで
IT大手企業の係長として 新たに
勿論、ミクの母親の会社だ……
引越しもした ……青山へ ……
この金銭は 自分で出したさ!
職場に近いのと ミクの実家にも近い
そして ……ミクの仕事も 表参道だから
あの雨降る歩道橋 ……
才色兼備の彼女 完璧すぎる
チャペルの鐘を鳴らすまでに
僕は仕事で成績を上げ
ミクの世話を しながら 今日も
青山通りをパステルブルーのminiで走る
少し淡い色の 夏の恋
こんな事ある訳無いじゃん!
ってね
皆様 良き1日を🤗🎐
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