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ショートショート(と、朗読) ぼくは かいじゅうになる

「お父さんは、何になりたかったの?」


SAND BOX No.013

 声のお仕事をされている(詩や小説も書いておられます)水上洋甫さんにお願いして、朗読をしていただこう、のシリーズ「SAND BOX 1099」です。毎週金曜日にお届けしています。

 もともと「眠れない夜に読むおはなし」を目指して私はnoteを書いていました。そういうものがあるといいなと自分で思っていたからです。

  夜に読むお話は長すぎてはいけません。次の日、寝坊しちゃうから。面白すぎてもいけません。眠れなくなってしまうから。
 怖すぎてもだめ。難しくてもだめ。くすりと笑えたり、ほかほかした気持ちになったり、そういうのがいい。

 随分条件が厳しいですね。あともう一つ、後で読み返さなくてもいい軽いお話。インターネットに書くものです。実は1日見られればいいほうです。でも、ひとりで紙のノートに書くよりは誰かに読まれますね。それはとても素敵なことです。本当に上手なお話はヒトを成長させるもので、それは、その時、その人にとってお話が「必要なくなる」ということでもあると思います。子供の頃読んだ本をいまでも読んでいる人が少ないのはきっとそういうことだと思う。話して、こぼれて、消えていく。お話とは元来そういうもので、私がよく朗読をお願いしてここにのっけているのはそんなわけもあります。

 noteに書いたお話のいくつかをまとめて本を作ることにしました。かっこよく言うと、傑作選です。印刷して、束ねて2023年6月18日(日)に文学フリマ岩手に参加予定です。
 ほとんどが他の方に朗読や音楽を依頼したことのあるお話になります。もともと、自分の大事な話しかそういうお願いをしないから当たり前なんですけど、なんかみたことあるやつばっかりだなー、ってなるかもしれません。そうだね。

 たくさん書いたのか、これだけしか書いていないのか、わからないけど。
 でも、よくできたなあ、っていうのがまとまったら、SNS、いつ消えても大丈夫だなって思えます。
 引退記念に作りました! ってことではなくて、「いつ消えても大丈夫」なら書くのずっと楽だなって思うんです。「続ける(あるいは続けなくちゃいけない)ために書いている」んじゃなくて、ただ、「書きたいから書いている」って確認ができるでしょ。

 オレンジエプロンの水上洋甫さんも詩のカテゴリで出店予定だそうですよ。
 朗読のお父さんは激渋ながらもキュートに仕上がっております。
 もとのお話はこちら。
 『COLD BREW』という個人的なシリーズものの中の1作です。

 「子どもと大人」という裏テーマがあります。
 「お母さんになりたい」「お父さんになりたい」「先生になりたい」「人気者になりたい」。夢は基本的に他人が叶えてくれるものだと思います。自分で全てまかなえるもの(「noteを今夜中に書く」)は夢じゃなくてタスクや目標です。大人の夢を叶えてくれるのは、けっこう子供だったりする。

「夜に読むお話(できれば、音声の)」は私の夢の一つで(自分で書いたお話は自分では無邪気に楽しめないものです)、もしあなたがこのお話を眠る前に読んでくださったなのなら、私の夢をかなえてくれたことになります。

 どうもありがとう。おやすみなさい。

 前回のSAND BOXはこちら。