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仕事力と仕事中の息抜き。

箱根駅伝などを見ていると、時々こんな実況を耳にする。

この1kmは3分10秒くらいですね。
力を溜めてるんだろうと思います。

アスリートの世界では1km3分が基準。フルマラソン(42.195km)が2時間ちょっとだから、1kmを3分でひたすら走り続けるのが標準というわけだ。

でもこれは、あくまでもアスリートの話。素人には到底無理な話。そんなペースじゃ1kmどころか500mだって走りきれない。

時々、駅伝やマラソンの中継中に、沿道を並走するファンがいる。全力で走ってるが、それでもギリギリ並走できる程度で、せいぜい200mくらいしか走れてない。

まぁそりゃそうだ。1kmを3分で走るには…100mを18秒、50mを9秒で走る必要があるわけだから。

一般人が全力疾走しても不可能な1km3分。

にもかかわらず、そこからたった10秒遅いだけの「3分10秒」で、はたしてランナーは本当に「力を溜めてる」なんてことが可能なんだろうか…。

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自分の体で再現できない僕には本当のことはわからない。が、元アスリートの解説者が言う言葉なんだから、ある程度それは事実なんだろうと思う。

もちろん「疲れない」わけではないだろうが、その10秒の違いが、後半のスパートへの余力を残すことになる。アスリートってのはそういう人達なんだ。

ほんのわずかな…10秒緩めるだけのことが、調子を整え、勝負所でのハイパフォーマンスになるということ。それがアスリートの世界。

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日本では8時間勤務がわりと標準的だ。

当然それ以上の長時間労働も行われているが、そうした労働環境の話はともかく、8時間くらいは働く人が多い。

8時間常に100%の力で働き続けるなんてことは到底無理なことだから、昼休憩などのブレイクを入れるわけだが…

そうしたいわゆる「休憩時間」とは別に「働きながら調子を整える」という技術が必要だと僕は思っている。ランナーが10秒ゆるめたり、給水するように…足は止めないけど勝負所のために少しゆるめるという技術がいる。

これが下手くそだと仕事するのがしんどくなる。

息抜きできずに過度に疲労やストレスを抱えたり、ゆるんでしまった自分に罪悪感を抱いたり…ゆるめたいのに人の目を気にして休めない…なんてことになる。

上手にゆるめて走り切る技術ってのは、ある意味で社会人の大事な資質だと僕は思う。

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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。