【第Ⅰ集】 自治会班長奮闘記〜ある住宅街の移住3年目班長〜
1−1 へいなか、班長になる
少年院の教官をやめて2年と数ヶ月が経ちました。
ということで、バタバタと家探し&引越しを済ませて移り住んだのは築50年近い借家。300世帯ある住宅街にある大ベテランの平屋の戸建て。壁が薄く、窓はめちゃくちゃ使いにくい。
でも…
小学校やスーパーが比較的近い立地は気に入っていて、ご近所さんもいい人が多い。特に娘を孫のようにかわいがってくれる御婦人にはこの2年間でどれだけのおかずとお野菜をいただいたかわからない。小さな庭があって好きなだけバーベキューができる。
つまり、なんだかんだとっても気に入っている。
が…
そこは古くて歴史のある住宅街。あいかわらず「自治会」なんてのが盛んで、年に何度も自治会主催のイベントがある。
これが想像以上に盛り上がるもんで行くたびに驚くのだが、4月のお花見にはざっと100人以上が来ていた。住宅街の隅っこにあるブランコと鉄棒しかない公園に、しょぼい音響とわずかな出店を並べて、地域の人がフラダンスを披露しながら、こどもたちが輪投げに興じる…。
たったそれだけのイベントで、たいして宣伝もなく掲示板と回覧だけで100人も集まる住宅街…
300超の世帯を14の班に分け、それぞれに班長がいて月に一回、班長会を開いて合議制で活動している。
そんな地域で今年、僕はついに班長になってしまった。
20世帯の代表。
月700円×12ヶ月=8400円の会費を払って参加している自治会で…誰もが嫌がる班長を、前任者から指名されて引き受けた。どうせ順転でいつかまわってくる。ちょうど「地域とのつながりを作ろう」と思っていた矢先のこと。班長業務自体はおっくうだが、ある意味ではチャンスと引き受けた。
ということで少しずつ班長らしいことをしているのだが…やってみてわかる圧倒的なアナログ感とアホらしさ。
この一年は、誰もなにも変えようとしないローカルコミュニティを、班長の立場から少しずつ変えていくチャレンジになった。
こんなの誰も興味ないと思うけど…ある意味で公務員の組織にも通ずる年寄りコミュニティへの挑戦記。
今日は状況の説明だけ。
(なので全編フリー公開)
これから少しずつ書き留めていきます。
(自分のための思考の整理です)
(2023.6.14)
1−2 班長の初手
わが自治会における班長の役割は一言でいえば「情報共有の中継点」だ。行政やその他各種団体(社協とか)からの配布物を配り、回覧板を管理する。
回覧板はボードに挟んで隣の家に置いてくるだけだが、配布物は全戸に歩いて持ってくしかない。
束で渡される配布物を20軒に分ける手間と実際に配る手間を考えると実働1時間くらいかかるわけで、非常にめんどくさいのだが…どうせやるならと僕はひとつ、工夫した。
班長就任後、最初の配布物にこんなものをつけたのだ。
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。