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ミントティー

そっと布団から這い出る
寝相の悪いあなたは、思うより眠りが浅いから
閉じたまぶたにそっと唇を落とした
足音を消して部屋を後に
隣室でPCの電源を入れる
凍えるように寒いからポットにお湯を沸かして

夢みたいな話だ
あの頃を思えば

居場所がないと知って途方に暮れた
一人より独りが辛いのだと
知りたくもなかった
誰もいない教室で息をついた
穏便に済ませてくれるならそれでいいよ
朱に交われない私が悪い

夢みたいな話だ
この頃を思えば

ブラウザが立ち上がってまず勤怠をつける
今日のタスクを確認しながら
ポットのお湯が沸いたのを確認する
洗い物をしたいけれど
たぶん君は起きてしまうな

夢みたいな話だ
あの頃を思えば

制服脱いで自由になっても
同じようなことを繰り返して
朱に成るのは無理と悟った
茫然と立ち尽くしたあの日
あなたがいたからここまでこれた

ねぇ、今日は何を飲もうか

万が一集まったら製本してコミティアで頒布します