陽に差し伸べられた白く柔らかい掌のように
支えることもできず しかし優しく包み込み
水の底もっと深く身を任せ沈んでいく
そして捕らわれた 細く透き通る指の内で
やがて露にされる時を拒み 自らを
絶え間なくすり抜け落ちる流れに委ね
僅かに熱を帯びた まだ開かれたことのない胸に
喉の奥もっと深く寄り添い結われた指先をほどき
離れゆく遥か届かぬ水面へと 手放された体を注ぐ

固く閉じられた瞼に触れるただ一つの夜
受け止める手は 預けられた苦しみから逃れるため
恐れを引き裂く喧騒を静寂の裡に覆っていく
そして捉われることのない 拠り合わされた幾つもの
やがて現れ出る姿に 新しい驚きが満ちはじめ
澄んだ肌に音もなく与えられた名が打ち寄せる
求めた戸惑いは息を潜め 地の名残りが頑なな声に伝う
追い立てられて向かうのは一筋の明けゆくしぐさ
どこまでも脆く砕け散りながら 限りない目覚めは其処に

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