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カブの旅 第25話「東京② 帰宅当夜」

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 3月21日から始まった「カブの旅 東日本(の南半分)編」は、本日の昼頃に帰宅して、全日程を終えた。
 東京編連載2回目の書き出しにして旅が終わってしまったのには訳がある。それは主に走ってきた国道4号線の無味乾燥さのせいだ。大して見所のない道中を時系列順に描写していってもおもしろくなさそうなので、後日主要なポイントをピックアップしてまとめたいと思う。なので本記事はとりあえずのまとめというかオチというか、あとがきみたいなものだ。
 結論が結論なので、カブがおやすみ中の今ささっと語ってしまおう。

 当初の予定通り、旅の期間中はほぼほぼ走り続けることになった。しかし概ね天候に恵まれ(文句は二三あるが)、雨や雪に打たれることもなく、無事故無違反無トラブルで自宅まで辿り着くことができた。まずはその無事を自分で祝いたいと思う(なぜ遊びにでかけただけなのに五体満足で帰れたことを喜ばなければならないのか……とふと疑問に感じたけど、そこを深く考えてしまったらバイクに乗る意義が失われかねないような気がしたので、やめておいた)。

 総走行距離は713㎞だった。直線距離で考れば、東京を起点にすると北なら函館、西なら広島辺りまでと同等の距離を走ったことになる。
 ライダーの僕の方は大いに消耗したけど、カブの方は至ってぴんぴんしている。寒暖差の激しい4日間だったが、息切れすることもなく、それどころか躍動していたと言っても過言ではない。ホムセン箱に積めるだけの荷物を載せて重かったはずなのに、那須の山越えも苦にしなかった。その小さな体にこれだけの力があるのだと知り、カブってやっぱりすごいんだなと改めて思った。

 その山越え中に望めた冠雪した那須岳の美しさや、左右一面に広がる関東平野の壮観さ、白石の森に落ちるスーパームーン、ゆりかもめの未来都市感、プジョーのおしゃれなスクーター、浅草の下町風情ともんじゃ焼きなどなど、楽しかったことはいくつもあったので、いい経験にも思い出にもなった旅だったとは思う。

 けども。
 だけれども。

 二度とは行くまい。


 少なくとも、スーパーカブ110で国道4号線を走って東京まで行くことは絶対にない。
 だってあらゆる面できついんだもの。
 嬉々として走っていた、がんばってくれたカブには申し訳ないけど、カブはトコトコ走るのには向いていても、ビュンビュン走るのには向いていないと思う。横風にふらっふら車に抜かれてふらっふらしていては、楽しさどころか命の危機しか覚えない。そんな過酷な環境にあえて何度も臨むような物好きでは僕はない。

 しかし、その死と隣り合わせの状況は、修行にはうってつけではないかと思った(なぜ一般人が修行しなければならないのかは置いておいて)。

 というわけで、次回はカブと走った国道4号線について語ろうと思う。

その分活字を取り込んで吐き出します。