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カブの旅 第12話「大崎八幡宮」

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「あれ、ENEOSってQUICPay使えるんだ」
 近所のENEOSに給油しに来て、いつものようにクレジットカードで支払いをしようと思ったら、支払い方法の選択画面に『電子マネー』があることに気付いた。選択してみるとQUICPayが選べて、他にIDもあった。
(つまりApple Payで支払えるということだな)
 初めて知った。ちなみに僕はApple Watchをしているので、つまりは財布もiPhoneも出さずに給油ができるということ。
 これは便利だ。バイクに乗っている時は手袋していたり鞄に財布を入れていたりするので、いちいち取り出すのは手間だったのだ。
 元々便利だったけど、バイクに乗るようになってApple Watchの手放せなさが増した。iPhoneを取り出すこともハンドルに設置することもなく、手元でさっと情報が見られるのはとても快適だ。簡易的だけどナビもできるので、iPhone使いでバイクに乗っている人はApple Watchもあるといいよとおすすめしたい。

(今回の燃費は61.5キロか。冬場にしてはまあまあだな)
「ほとんどツーリングで減った分だからだろうけどね」
 カブは計算もできるらしい。僕はまだレシートすら受け取っていないというのに。
(で? 今日はどこ行くんだ? 出不精の主が、わざわざガソリンだけ入れに外に出るまい?)
「失礼なやつだな」まあその通りなんだけど。「今日はまた一度も行ったことないところに行こうと思ってね」
(ほう! それは楽しみだな!)
 張り切っているところ悪いけど。
 今日はあんまり走らない。

  *

「着いたぞ」

「大崎八幡宮だ」

 青葉区八幡にある、仙台を代表する神社だ。その証拠に、ここは市内の観光スポットを巡回するバス『るーぷる仙台』の経路に入っている。
(一度も行ったことがないところだと言うから……)
 もっと遠くに行けると思っていたらしく、カブのエンジン回転がブルルン……と落ち込む。
(主はこんな有名なところも来たことなかったのか?)
「うん、まあ」
 お参りもお願いもしないので神社に行く用がないし、僕にとっては神社といえば宮町の方にある東照宮だ。まあそこも学生時代に部活の練習したりケイドロで遊んだりしに行っていたくらいなんだけど(当時はご迷惑をおかけしました)。
(どんと祭とか裸参りで有名だろうに)
「どんと祭も東照宮でやってたしなあ」
 というわけで、青葉城趾に続き、『行ったことない地元の観光地シリーズ』として、大崎八幡宮に来たという次第だった。

 狛犬に出迎えられ、中へ。

 来る用がないとはいえ、神社のこの静謐な空気は好きだった。

 仙台のプロスポーツクラブはここで必勝祈願をしている。

 一般の人も頼めば祈願をしてもらえる。今日も本殿でどこかの会社らしき人達が行っていた。

 駐車場は北参道の先にある。

 自転車置き場もあったので、バイクはそちらに駐めた。表参道の方に駐車場はないので、車で来る時は裏側に回るようにした方がいい。
 こちらはその北参道側の鳥居。

「よし、見るところも見たし、そろそろ帰るか」
(また10分観光か)
「神社ならそんなもんじゃないの?」
 一人で他に何しろと。ケイドロもできないし。
「そろそろお昼だしね。ごはん買って帰ろう」
(今日はそばじゃないのか?)
「うん、今日はから揚げ」

  *

 目的地は青葉区北根、仙台文学館の向かいにある『鶏から揚げ専門 井上商店』。

 割と最近できたお店で、この辺りはよく通るのでかねてから気になっていたところだ。から揚げ弁当のお店らしい。
 地図でいうとここにある。

 パトランプみたいなライトが目印のお店だ。何のために付いているのかと思ったけど、車道を走っていると目印になって見つけやすかったので、そのためかもしれない。
 ここはよく中身が変わる店舗だった。以前は近くに移転した『ラーメン雷』が入っていた。大通り沿いなのに、駐車場が狭いので、その辺りがちょっと不便な場所なのかもしれない。

 メニューはから揚げを使った弁当や丼など。から揚げは単品でも注文できるみたいだ。
 僕はから揚げ弁当の中サイズ(500円)を購入した。
 から揚げは肉厚で、噛むと肉汁が溢れ出るほどジューシーだった。お店のから揚げなんて久しぶりに食べたのでおいしかった。結構大きなから揚げが5個も入っているので、女性なら小サイズでいいかもしれない(小だとから揚げは4個入りになる)。

(たまにはから揚げもいいな)
「おまえは何でも食べるのな」
 食べているのは僕だけど、カブ曰く、僕の味覚と同期して味わうことができるらしい。その証拠にこいつの声は満足げだ。
(カブだからな。何でも味わうぞ。酸いも甘いも、ガソリンの味も知っている)
「闇が深いな!」

その分活字を取り込んで吐き出します。