見出し画像

選挙ポスター大喜利

変なのが貼られたりしたことが追い討ちとなり、その不要論が出ている。
看板立てて掲示して、あんなアナログなやり方は時代錯誤だとの声も聞く。

小学生の頃、友達と下校時に選挙ポスターを前にして品評、というかちょっと気になるポーズや顔の人を真似たり、要は小バカにして楽しんでいた。
でも思い返すと、それが初めての自発的な政治との触れ合いだったように思う。
そして、そこで知り得た名前や顔をテレビで見ると、なんかちょっと嬉しかったりもしたし、役職なんかが付いたりすると「おぉっ」となった。

私の地区では当時、若手のホープとして菅原一秀(いっしゅう)が出てきて、彼は学生時代に野球をやっていたことから、選挙ポスターもそれを絡めた、例えばキャッチャーの防具を付けてポーズを決めたものだったりして、自身を含めた野球少年はわかりやすく興味を惹かれたし、また、少年野球の大会の開会式に来たこともあった。
その際の「高校時代に甲子園へ2回行った」との話しが強く印象に残り、また、多少の憧れも抱いた。

それから20年ほど経った頃だろうか。
彼が出世し、おそらく何らかの役職を得たような際に、諸々のスキャンダルが噴出し、その一連の流れの中で「高校時代、野球部に在籍していた時期にチームは2度甲子園へ出場したが、いずれもベンチにすら入っておらず、スタンドで応援していた」との内容の記事が出た。
少しショックを受けたが、「その話しを私は当時、直に聞いたのだぞ」という、変な優越感みたいな気持ちも覚えた。
思い返せば、甲子園に2度行ったとの大きなトピックの割に、中身は「甲子園は良いですよ〜」といった漠然としたことしか言っていなかった記憶があり、合点がいった。
ただ、どのような言い回しだったか正確には憶えていないが、スタンドでの応援でも、甲子園に「行った」は本当で、あるいは「出た」と言っていたとしても、非常に広義に捉えたら、甲子園の大会に出たとは言えそうだから、ギリギリ嘘とまではならなさそう。
嘘は言わないが本当のことも話さない、政治家の言葉の妙に触れた、貴重な体験だったのかもしれない。
一応グレーだが、でも白か黒かといったら、ハッキリと黒である。

ところで、政見放送がお笑い番組の"あらびき団"みたいだと言われているようで、これには東野も言及していたが、あらびき団は基本、それを狙ってやっているわけではなく、本人が普通に面白いと思うことを一生懸命やった上でのズレだったり、何だか上手くいっていないような様を楽しむものであるから、それを政見放送に置き換えると、本人は真面目に政策なりを述べているつもりが、意図せず何だかズレていたり空回りしていたら、それが"あらびき"的な面白さと言える。
そして、その政見放送大喜利は、内田裕也がとうに大正解を出しているから、もう負け戦でしかない。

これは乱立する、あのような狙った選挙ポスターにも言えることで、小学生時分の私からしても「いや、そういうことじゃないんだよ」と、きっと冷めた目で見ていたであろう。

例えば、"照れ"を隠しきれない、およそ慣れていないぎこちない表情で軽く拳を握ったポーズのもの、あるいは、明日の社会か遠い未来を見つめたような「どこ見てんだよ」といった眼差しの、そんな伝統的な基本パターンが結局、1番面白かったりする。
昔ながらの醤油ラーメンが美味しいように。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?