オートファジー 

ことばの学校演習科課題:「告白」

 ごめんなさい。この前ゆうちゃんの家に遊びに行ったとき、うちから2時間って言ったけど、本当は1時間45分でした。ごめんなさい。
 ゆうちゃんが時間を大事に考えてる人だということはわかっているつもりでした。けど、あのときはとっさに2時間と言ってしまいました。ぴったり1時間45分かというと確信がないのですが、1時間50分でないことはたしかです。
 時間は世界そのものです。だからこれは世界そのものについての話だと思っています。人は一人ひとりがそれぞれの時間を生きていて、そのそれぞれの時間の経験がそれぞれの世界の経験です。ゆうちゃんもそう思っていると思います。ゆうちゃんの時間と私の時間が全然違うもので、なのにお互いが同じ空間にいることをはばからないでいられるのは喜ばしいことだという話を前にしたと思います。私はゆうちゃんと過ごした時間をすべておぼえていて、そこからすくいとった15分がどれだけほんとうのことで満ちているかを知っています。
 私は15分を雑に扱うことで世界をないがしろにしてしまいました。それは時間としての世界を大事に思っているゆうちゃんを、というか、ゆうちゃんという時間そのものをないがしろにし、その世界を一緒に大事に思っているはずだというゆうちゃんの私への信頼をないがしろにしました。
 そのことを謝りたいです。私はゆうちゃんに信頼されたい。15分をサバ読む程度のことでゆうちゃんが人間をのきなみ信頼しなくなる人間であると私が思っているということではないです。けど結果的にそう受け取られてしまったら、それはそうなのかもしれません。そうであれば、私はゆうちゃんをもっと信頼したい。
 オートファジーという細胞の働きを知っていますか?私は最近知りました。細胞が細胞内の不要なタンパク質を自分で分解してアミノ酸に変えるそうです。それは体が飢餓状態のときに活発になるそうです。いま私はとてもお腹が空いているのですが、べつにそういう状態を指して飢餓と言うのではないと思うので、私の体でいまオートファジーが活発かどうかはわかりません。関係のない話です。

 明日またそちらに行きます。1時間50分はかかると思います。

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