自己紹介の文化があると聞いて
自己紹介は苦手だ。
リアルだろうとネットだろうと、自身について語るべきことなど何も持ち合わせていない。
仕事上は大人なので仕方なくそれをするが、せめてこういうところでは勘弁してもらいたい。
輝かしい背景も、誇れるような実績も別に何もない。
特筆すべきような趣味はなく、共有したいような嗜好もない。
顔のある、何者かになりたい時期はとうに過ぎ、それでいいと思っている。
諦めたのではない。ある時、別に自分は何者かになりたいわけでないことに気づいたのだ。
そう気づいてからは、社会における自分の立ち位置を自覚し、ただ役割を粛々とこなしている。好むと好まざるとに関わらず。
そうやって得た糧で細々と飯を食い、子どもを育てている。
自分の感じていることや考えていることなど、何ほどもないことだ。
ただ面白いからやる、書く。それだけ。
こんなんで生きていけるのかと不安に思わなくもなかったが、もはや20年近くの時をフリーランスで過ごしたので、たぶんこれでも大丈夫なのだろう。
ネットの大海で縁あって自分の書いた文章が目に留まり、あなたの感性や価値観とふれて何らかの科学反応を起こしたのなら光栄です。
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