ゲームメカニクス大全でゲームの面白さを見える化しちゃってもいいですか? #翔泳社ブックアンバサダー
段下です。
先日、2016年初頭から使い続けてきたゲーミングPCのグラボを載せ替えました。載せ替えたと聞いて、職場の後輩に「RTX3070ですか?コスパ良いですよね」と言われたのですが、恥ずかしながら中古で3万円弱のGTX1080です。RTXが出揃った今じゃミドルレンジのやや下です。それでも、載せ替え前のGTX950と比べたら3倍(何のベンチかはっきりしろと怒られそう)くらいの性能なので、いかにきつきつ限界MAXで作業してたかってことですね。お金が無いのでもう2~3年はこれで戦おうと思っています。僕のことはSDGsの鬼と呼んでください。
さて、何故グラボを買い換えたのかと申しますと、今回ご紹介する書籍に関係が深い事情なんですね。何を隠そうわたくし趣味でゲームエンジンUnityをもそろもそろに弄っております。オブジェクト指向の練習がてら3Dをごりごり弄ると流石にパワー不足を感じてきたので、グラボ交換に至ったわけです。
目標は志高く、Youtuberに遊んでもらえるSteamゲームを作ることです。ハードル高!!ここだけの話、ホラーが苦手な私ですが、ホラーゲームを作っております。ホラーが苦手なのに。俺の代わりにみんなに絶叫してほしい。実況プレイ動画大好き。
話は変わって遡ること1ヶ月、翔泳社さんのメルマガだったかTwitterだったかインスタ広告だったかで、#翔泳社ブックアンバサダー というのを募集しているのを発見しました。媒体自由でハッシュタグ付けてくれたら好きな本あげるよ!というので、100人の枠しか無かったのですが「これだけ無償の(note)執筆活動をしてたら受かるだろう」という謎の自信で受かりました。アンバサダーと格好良くいって煽てあげても今回限りの付き合いだと思いますが、承けた恩は倍返しだ!のフレーズでお馴染みの私ですから、そうと分かっていてもバズらせて感謝されたいんです。末永くお願い申し上げます。とっとと本読めや太郎。
すべてのゲームデザイナーのためと書いてあるので、僕も含まれています
600ページあります。もはや辞書
前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するのはこちら、
ゲームメカニクス大全でございます。
名著『Building Blocks of Tabletop Game Design』の邦訳ということで、待ちに待った一冊!みたいな盛り上がりがなんとなくあった気がします。僕は英語が日本語ほど得意ではないので、英語でも全然読めるんですが日本語で出してくれてよかったです。生んでくれた両親と翔泳社さんに感謝したいと思います。ありがとうございます。
・ファーストインプレッション
辞書かな?と思ったのですが、辞典でした。原著はボードゲームデザイナー自ら書かれたということもあって、序文をパラ読みしただけでゲームへの多大な愛、熱量が感じられる傑作です。広辞苑の編集に日本語への敬意が欠かせないように、まさにゲームとゲームメカニクスへの敬意が溢れる、辞典と呼ぶに相応しい出来栄えになっています。
本の末尾には、解説に引用されたボードゲームの一覧が語順で並んでいます。「これで全部なのでは?」と思うくらい沢山収録されていて、逆引き出来るように個別に適合するメカニクスが紐付けされています。一般日本人的には知らないゲームばっかりだと思うんですが、ゲームの世界の深淵さを教えてくれます。あと、友達がいたらいいなとも思わせてくれますね。
・独自の工夫
実は、辞典らしさが側面に表れています。さっきの写真をもう一度見てみましょう。
英和辞典みたいに項目が階段状になっていて、見るからに索引しやすい。
でも「項目」ってどういう分け方をしているのか気になりませんか?少しだけ紹介しましょう!
・ゲームメカニクスを分類する要素
[STRTRNACTRESVICUNCECOAUCWPLMOVARCSETCAR]って何?
頭から、
STR - ゲームの構造
TRN - ターンオーダーとターン構造
ACT - アクションドラフト
RES - 解決
VIC - ゲーム終了と勝利
UNC - 不確実性
ECO - エコノミー
AUC - オークション
WPL - ワーカープレイスメント
MOV - 移動
ARC - エリアコントロール
SET - セットコレクション
CAR - カードメカニズム
・・・
です。数えたら、13項目。
この分類はたとえば、「ECO - エコノミー」なら、
「資産を獲得し、活用して勝利を目指す」契約、投資、賄賂、交渉、所有権という、馴染み深いメカニクスを含む分類から、
「ARC - エリアコントロール」など、更に深く踏み込んだ概念もあります。これは戦争的なゲームに用いる「領地の支配や影響という概念」を指し、込み入った話になるだけあって分類されるメカニクスの名前も「フォースプロジェクション」、「ゾーンオブコントロール」、「ラインオブサイト」など、一聴しただけではなんのことやらわからないものがあったりします。
とても全部は紹介しきれないですが、なんとなく分かってもらえましたでしょうか。
イヤイヤ、ワーカープレイスメントって何?ターンオーダーのメカニクスにはどんな種類があるの?そんな風に知的好奇心が騒がずにはいられない、そこのあなたは、今すぐ買って枕にしよう。高さが足りるか心配なら2冊買っても良いかもしれない。そうすれば、「ウーン、「キャントストップ」もいいけど、ここは定石で「ヤッツィー」じゃないか。ああ、「ファラオの恩恵」も悪くないね。しかし、あえてダイスロールから趣向を変え「プッシュ・ユア・ラック」を報酬を追求するシステムの中に実装するのはどうだい?そう、「ロール・スルー・ジ・エイジ:鉄器時代」がモニュメント競争に参加するか選べる権利を与えるようにね。」という粋な台詞を言えるようになるのも夢ではありません。
おまけ:レーダーチャートをつくってみた
項目が13個あるということで、ドッティングして分析できるレーダーチャートを作ってみました。これは真円を目指せばいいというものではなく、どこを捨てて、どこを際立たせるか?を視覚化し、戦略を練ることの一助となるのではないかと思います。まずは項目がわかるところからドットを打っていって、もしもこれはどういう概念なのか?と思う項目があったらそこはまったく盲点だった可能性がありますから、その時に「辞典」を引けば自作ゲームの新しい可能性が開けるかもしれないですね。
世の中に素敵なゲームが増えますように!お後がよろしいようで。
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