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Ami Ⅱ 第5章-重大な欠点 

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アミは、前回の旅で、自分の宇宙船は光のような『遅い』速度で、空間を『移動』しないと言いました。
『時空座標の重なりに関係する複雑なシステムによって、自分たちの行きたいところに素早く現れるのです。』
と彼は説明してくれたのです。
僕は、今でも、よく理解できていないのですがね。
僕たちが『位置取り』をしていると、窓の向こうに霧が流れていきました。
間もなく、キアへ到着するのでしょう。
その間、僕は、アミが言っていた『慣れていない人には、あまり光を見せない方がいい』という言葉について考えていました。
それを聞いた時、僕は解ったふりをしたのです。
もちろん、アミが僕の考えを読んでいることも知ってましたがね。
しかし、『光に慣れている人に闇を見せない。』というのは、ちょっと違うんじゃないかと思っていたのです。
すると、ビンカが「恐怖で死ぬかもしれないわ。」と口を挟みました。
なんと、彼女も僕の考えを読んでいたのです!
「その意味がわかりますか?」とアミ。
「ううん。僕はただアミの言葉を思い出していたんだよ。
アミがそう言ってたからね。
どういう意味か教えてくれない?」
「不幸を知らない人には、いきなり見せずに、たとえば死体の姿を徐々に見せたほうがいいということです。」
「少しずつ見せた方がいいってことなのね。」と、ビンカ。
「これで理解できましたか?」
「突然みせるのは恐ろしい事なんだね。
やっとわかった気がするよ。」
すると、「ペドロ、また、内なる闇の中にいるのですか?」
とアミが不安そうに言ったのです。
「謎解きはやめて、ちゃんと説明してよ。」
「多くの人は、自分を高く評価しているため、自分の欠点に気づくことができません。
時には、それが深刻な場合もあります。
突然、大きな気づいていない欠点を見せられると、その衝撃で死んでしまうことすらあるのです。
醜い小人が、自分は美しいと思い込んで喜んでいた話を知っていますか?」
「ううん。」
「鏡で自分を見たことがなかった彼は、初めて鏡に映った自分を見たとき、悲劇が始まったのです。
わかりますか?」
今回は、「はい」と答えました。
エゴから生まれた大きな欠点を発見するのは簡単ではありません。
他人が発見するのは簡単ですが、突然それを見せられたら、自分を美しいと思っていた小人のように、死んでしまうことすら起こりうるのです。」
それが僕の考えと違っていたのです。
「エゴを強く叩いて壊して、エゴがない状態になれば、純粋な愛!になれるんじゃない?
すると幸せになれると思ったんだよ。」
「ええ、でも泳げない人からいきなりライフベルトを取り上げるのは......。」「また謎解きか、どういう意味なの?」
愛の少ない世界では、多くの人が悪人です。
そういうところでは、エゴは保護者であり、一種の救命胴衣なのです。
しかし、より高いレベルに行きたいなら、その重い『救命胴衣』、エゴを持っては入れません。
泳ぐことを学ばなければならないのです。

しかも、子どもにとっては、まだ決断するときではありませんが。」
「この場合の『泳ぎを学ぶ』とはどういうことなの?」
エゴの策略ではなく、普遍的な法則に従って人生を過ごす方法を知るということです。
愛に生きれば他に何もいらないのに、それを手に入れる方法さえ知らないのですから。
それを知るためにキアへ行くのです。

僕は、彼に、僕の大きな欠点を知っているかどうか尋ねました。
すると、アミは、
「もちろん、マンバチャよりも醜いものを持っています。」
と笑いながら答えたのです。
「マンバチャって何?」
「先史時代のある醜い標本のようなものです。」
すると、ビンカは、しばらくためらってから尋ねました。
「じゃあ、私にも大きな欠陥があるの?」
「大きな欠点です。」
とアミは笑顔で答えたのです。
「もちろん、チャチャカ(これもその世界の虫)のような醜いものを持っていなければ、キアでミッションに就くこともなかったのですが......。」
「私のミッション? ミッションってなんなの、アミ?」
「で、僕(私)の大きな欠点は何?」
ビンカと僕は同時に尋ねました。
すると、アミは、赤ん坊のような、柔らかな笑いを漏らしました。
「一度に2つの質問には答えられません。
まず、欠点について。
そして、それぞれの惑星で行うミッションについて説明しましょう。」
「ミッションって? 僕にもあるの?何なの?アミ。」
 と僕が聞くと、「これで質問は3つです。」とアミが笑いながら答えました。
「なぜなら、あなた方は、その醜い、予想外の真実に耐える準備ができていないからです。
その上、あなた方はそれを信じることが出来ず、『中傷』『悪意』等と言って私を攻撃するでしょう。
それが真実であれば、それはあなた方にとって悪いことで、自尊心に大きな打撃を与えることになるからです。
しかし、私は、あなたたちを『救命胴衣』なしで放っておくことはできません。
徐々に小さな欠点を見せなければならないのです。
この作業は、3人にとって非常にデリケートで、痛みを伴うものです。
少し前に、あなた自身の醜い部分を見せましたよね、ペドロ?」
「あ、あの誹謗中傷ね。」
と、僕はアミの言いがかりを思い出しながら、困ったように言いました。
すると、彼は、また笑ったのです。
「自己防衛の反応はいつも同じです。
『中傷』『悪意』『不快』『非難』ですが、打撃はすでに加えられており、意識は、たとえ最初はそれを認識出来なかったとしても、見ているのです。
そして、それを見て、受け入れられば、戦うことができるようになるのです。」
と僕を見ながら言いました。
「受け入れるのに、少し時間がかかることもありますが。
このようにして、私たちはより重要な欠点に近づいていくのです。
が、同時に『泳ぐこと』、つまりエゴに頼るのではなく、愛から生まれた法則に導かれることを自分自身に教えているのです。」
「今がその時なのね。」
とビンカは焦って言いました。
正直なところ、アミが言ってる僕の欠点やエゴは、あまり理解できなかったのです。
それどころか、とても気分が悪く嫌でした。
あの誹謗中傷はやはり『進化』ではなく、彼の魂が持つ非常に邪悪な特性だと思いました。
僕は、彼の言うことをすべて鵜呑みにするのは、何か不吉な計画が隠されているかもしれないので、気をつけようとさえ思っていたのです。
当然、アミは僕の思いを読んでいました。
「私が言ったことは、すべての人に当てはまることであり、ペドロだけに当てはまることではありません。
でも、被害妄想さん、あなたが、心の中で最悪の事態に繋がり続けるなら。。。」

すると、ビンカがあきらめずにこう尋ねました。
「アミ、私たちにはどんな使命があるの?」
「私が頼んだように、あなた方は、書いたでしょう?」
「えっ、君もなの?」
と僕たちは同時に言ったのです。
「2人とも、私とのそれぞれの出会いを本に書いてくれました。」
僕は不思議そうにビンカを見て、
「君の本のタイトルは?」と聞くと、
「Ami of the Stars」と彼女が答えたのです。
「そんな、それは盗作だよ!?」
と、僕は困惑して叫びました。
アミは何も言いませんでした。
「どうして、盗作なの?」
ビンカの表情には無邪気さと愛らしさがあったのです。
「それは、僕が書いた本のタイトルだからだよ。」
「なんて素敵な偶然なの!!」
「ペドロはどんな事を書いたの?」
「アミとの出会いだけど、祖母とのことについても。。。」
「私もアミとの出会いの話だけど、私にはおばあちゃんがいないのよ。
進化した世界『デヴァシュタン』に行った事。
ルクナ、フィルス、そして薔薇色の世界を訪れた事を書いたのよ。」

すると、突然、ダッシュボードから甲高い音がして、赤いランプが点滅し始めました。
「静かにしてください!」とアミ。
赤いアラームにビンカはおびえていました。
「どうして、アラームが鳴ったの?
どういうこと?」
「地震が来るということです。
なんというチャンスでしょう。」
「地震?」と、僕は恐る恐る尋ねました。
「ええ、地球上ではね。
でも、あまり激しくない揺れに格下げしますよ。
さあ、見て下さい。
まずは、プロテクション作業をして、それからキアへ行きましょう。」
「君は、地震を防ぐことができるってこと?」
僕は、畏敬の念を込めた驚きと好奇心で尋ねました。
「一部だけ減らす。
そして、時々減らすのです。
直ぐに、フェローシップの多くの船が、見えてくるはずです。
このような保護活動に従事しているのです。」
すると「どんなフェローシップなの?」
とビンカが尋ねました。
「進化した世界の交流です。」
と、アミはコントロールボードを操作しながら答えました。
「前に話してくれた宇宙の仲間のこと?」
「正解です。
今から、そのことをさらに詳しく説明しましょう。
この2回目の旅は、あなた方にとって別のコースのようなもので、より高度なものですが、部分的に行きましょう。
私たちは、あなた方のミッションに参加したのですから。
あなた方は、もともと自分の生まれた惑星から来たのではないことを知るべきです。
ビンカはキアの人じゃないし、ペドロは地球人じゃないのです。」
そう言いながら、彼は僕たちを動揺させて楽しんでいるように見えました。
すると「そんなはずないわ。」
とビンカが反論したのです。
「私はキアで生まれたのよ。
出生証明書も持ってるわ。
クロルカ叔母さんが、私のおむつを替えたって言ってるのよ。」
「僕は地球で生まれたんだよ。
僕のおばあちゃんは...。」
というと、満面の笑みでアミが割って入ってきました。
「それは真実です。
あなた方はそれらの世界で生まれたのですが、元々はその世界の人間ではないという事です。」
「そんなの理解できないよ。
生まれた場所が出身地だよね。」
と僕は言いました。
「必ずしもそうではありません。
君たちは進化していない世界に生まれましたが、魂はフェローシップの世界から来ています。
進化していない惑星でしか使命を果たせないのです。」


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