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「TED Talksでアフリカを学ぶ」―魅惑のアフロビート―

どうも。大学4年のヒポポハリネズミです。大学で「アフリカ」について学んでいます。今回は、「TED Talksでアフリカを学ぶ」シリーズ、第2回目。

「TED Talksでアフリカを学ぶ」シリーズとは……
あらゆる分野の講演者による多彩なトークが詰まった動画配信サービスTED Talks。この学びの宝庫の中から、「アフリカ」に関連する動画を僕が独断と偏見により選び出し、解説やコメントを加えていくという不定期開催コーナー。

講演:「魅惑のアフロビート」

Sauti Sol "The Rhythm of Afrobeat" (2017)

講演のポイント

 本講演は、ケニアの音楽グループ、Sauti Solによるパフォーマンスである。僕は残念ながら現代アフリカのポップシーンにかなり疎い方で、「アフリカの好きなアーティスト(音楽)っていますか?」なんて質問されると、「えーと、そうですね~」とか言いながら、頭には「…………」が浮かんでしまう。せっかく「アフリカ」を学んでいるのなら、今この時を共に生き、世界を共有しているアフリカのアーティストくらい、一つや二つは知っておきたいものである。
 ということで、今回はTED Talksで偶然出逢ったSauti Solについて。TED Talks内のパフォーマンスというよりは、調べた情報中心になると思うけれど、アフリカを学ぶきっかけになって頂けたら、飛び跳ねるくらい嬉しいです。

①Sauti Solについて

 Sauti Solはケニアのアフロポップのバンドで、2005年から活動している。メンバーは、

Bien-Aimé Baraza、Willis Chimano、Savara Mudigi、Polycarp Otieno

の4人。彼らの音楽は国内外で様々な賞を受賞しており、世界的な人気を誇っている。アフリカのポップシーンを牽引するグループの一つと言っても過言ではないだろう(日本では人気あるのかなあ?分からないや)。
 Sautiはスワヒリ語で声、音、メロディーっといった意味で、Solはスペイン語で太陽を意味する。彼らの音楽を聴いていると、「太陽のヴォイス」っていう表現が良い気がする。柔らかな光じゃなくて、燦々と照りつける光のイメージ。

公式サイト→https://sauti-sol.com/

②YouTubeで聴いてみた

 TED Talksのパフォーマンスを見ただけで、彼らの絶妙なハーモニーや、思わず体が動き出すメロディー、サウンド、スワヒリ語の心地いい響き、溢れ出すアフリカへの愛は十分感じるけれど、もっと聴きたくなってすぐさまYouTubeへ。公式チャンネルはかなり充実しており、僕はどんどん惹き込まれていった。

ここで何曲かピックアップして感想とか説明みたいなものを書こうと思ったけれど、なんせ曲が多すぎるし、どれもどれも素敵で決められない。結局、今回のTED Talksの最初に歌われた、"Live and Die in Afrika"を取り上げたいと思う。

この曲は2015年発売、同名のアルバムに収められている。

アルバム"Live and Die in Afrika"はアフリカ大陸を祝福するものです。この成長する大陸には多彩な文化が溢れており、才能と資源の宝庫でもあります。そしてまさに今私たちは、アフリカとその潜在力を心から信じられるような時代に生きているのです。…………一つになったアフリカの「心」がこのアルバムに詰まっているのです。
(公式サイトより一部抜粋、筆者訳)

アップされていない曲を除き、このアルバムを総て聴いてみました。

すごい。カッコイイ。すごく心地いい。聴いていて気持ちいい。

 何だか小2の感想みたいになったが、本当に心からこれはすごいと思える。何よりも声がいい!ハーモニーも絶妙な響きですーーっと心に沁みわたってくる。僕らの体の中に眠る「ダンススイッチ」をいとも簡単にポチっと押すような曲もあれば、じんわりと心を濡らしていくバラードもお手の物。メロディーもサウンドも、繊細でエネルギッシュな曲ばかりだ。

 僕は正直に言ってアフロビートなるものが何なのか説明できない。Wikipediaで調べたけど、厳密にはAfrobeatとAfrobeatsには違いがあったりとかして、面倒になって諦めてしまった。でもSauti Solの曲を聴いているとそんなのどうでもよくなってくる。「まあこれを聴いていきな。これがアフロビートっちゅうもんや。」って言われているような気がするのだ。だから難しいことは考えないようにした。Sauti Solがアフロビートなのだ。

③Afri"c"aではなく、Afri"k"a

 さて、最後にこのトピックを取り上げて終わりにしたい。勘のいい方はもうお気づきかもしれない。先ほど紹介した"Live and Die in Afirka"は"Africa"ではなく、"Afrika"という綴りになっているが、これは僕のミスではない。
 普段僕たちが目にするのはAfricaである。しかし、Afrikaという綴りも間違っていないのだ。このnoteも、Googleも、これがスペルミスであると指摘するのだけれど、Afrikaは正しい。

 では、なぜ彼らはAfrikaを使用するのだろう。
話は植民地時代に遡る。植民地時代、イギリスやフランスから来た植民者たちは、"K"の文字が使用されているものを"C"に代えてしまったのだ。理由は単純、自らの言語と照らし合わせると、"K"の文字の発音に違和感を覚えたからだ。彼らは"Kongo"→"Congo"、"Akkra"→"Accra"(ガーナの首都)としたのだ。
 つまり、アフリカ側の人間からしてみれば、Afrikaでいいのに、勝手にAfricaに代えられてしまったのである。他にも要因はあるだろうが、この政治的な操作が背景にあるのは間違いないだろう。(↓参考資料参照)

 では改めて、Sauti Solが"Afrika"の綴りを採用するのは、どうしてだろうか?植民地という暗い歴史への反抗や、それを実行した西欧諸国への怒り、不合理な支配への強い抵抗なのだろうか?
 僕は、そうは思わない。そのようなネガティブなものではなく、植民地時代という歴史をも含めた、今のアフリカの姿を肯定して進んでいこうというエネルギーを感じるのだ。本人たちに直接聞いたわけではないので憶測に過ぎないかもしれないが、Sauti Solの音楽を聴いていると、包容力に満ちたような印象を受けるのである。

「アフリカ」という日本語の表記では凡そ浮かび上がってくることのない、"K"と"C"の違い。このたった一文字のアルファベットに込められた想いは、想像もつかないほどのパワーがあるに違いない。


はい。今回は少し長めになったかもしれません。アフロビートの魅力、これからどんどん掘り下げようと思います。ここまで読んで頂きありがとうございました!質問やコメントなどございましたら、是非よろしくお願いします!!

<参考資料>
・AfrikaとAfricaについて→https://www.newtimes.co.rw/section/read/187980
 →http://www.trinicenter.com/kwame/2002/Feb/172002.htm

第一回目はこちら



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