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中古戸建て大安売り時代がすぐ来る

「買ってください・売ってください」が不動産屋さんの営業だったのは10年前までで、今は「売ってください」だけになりました。建築業者さんからは営業どころかチラシも来ません。東京の不動産価格上昇はよく聞こえてきますが、ここ札幌でもどんどん上がっています。

札幌市中央区の標準的な中古マンションの価格は直近の3年間で8.78%程度上昇しました。

LIFULL HOME'S住まいインデックス(2024/6/12現在)より

同様に、賃貸マンションの賃料も直近の3年間で7.71%程度上昇しています。

LIFULL HOME'S住まいインデックス(2024/6/12現在)より

不動産価格の話をすると、よく「え?札幌、すっごくやすーい!東京と全然違う!」の感想をいただきます。同じようなことは円安になってから「え?日本、すっごくやすーい!アメリカと全然違う!」となって発生しています。スコットさん(仮名)は、シアトルに住む私の生徒さんで、昨年、日本の中古住宅を買いました。内見はおろか現地にも行かずオンラインだけで契約しました。駅まで徒歩〇分とか、スーパーや学校が近いかとか、築年数とか、日本の不動産なら重要なファクターになるものには興味がなく、広くて新幹線の駅まで車で行けるからという理由で選んでいます。まず必要なのはこたつを買うことと言っていました。ツッコミたいところが多すぎて心配でしたが、今年になって来日して滞在して、とても満足気だったので安心しました。周りは美しい果樹園だそうです。日本からリモートワークしようかと思ったけど夜中に働くのが無理なのであきらめたとのことです。タダみたいな値段だったそうです。

東京のマンション価格高騰に我慢ならなくなったみなさんも、時差のない札幌に不動産を買って移住するのはいかがでしょうか。でも、ちょっと待ってください!

違う、違う、いまじゃ、いまじゃなーい。

日銀の金融緩和政策の修正は、住宅ローンの金利も上昇させそうです。新築マンション価格は上がり続けているし、中古マンションもつられてあがっていって、早いうちに買わないと一生買えなくなりそうだと焦る気持ちはよくわかります。でも、へびは素人ながらも、もう少し待つことをお勧めします。

札幌の住宅価格推移をもう一度見て見ます。

LIFULL HOME'S住まいインデックス(2024/6/12現在)より

2024年4月に中古一戸建ての価格が目に見えて減っています。ここに来て土地もきもち下がったように見えます。どういうことでしょうか。

日本の人口構造上の大集団である団塊の世代(1947~1949年生)の全員が75歳を超えたことが理由だとへびは推測します。日本は毎年150万人以上が亡くなる多死社会になりました。多死社会は大相続時代とよく読み替えられます。このとき、相続財産の中にかなりの割合で中古住宅・中古マンションが含まれます。団塊ジュニア(1971~1974年生)は初期の氷河期世代を含んではいますが、多くが既に住居を含めて自分の生活基盤を確立しています。被相続人の子どもの数は多くなく、きょうだいや、甥姪が相続人の場合もあります。相続した不動産に相続人が住むことはまずありません。そうなると売るか貸すかになります。大相続時代にはファミリー向けの売り物件があふれ不動産大買い手市場になります。

では、大買い手時代はいつくるでしょうか。日本人の平均寿命は、男性81歳、女性87歳ほどです。団塊の世代が75歳~77歳、夫婦2人が亡くなったときに相続が発生するとすればあと10年先の2034年以降でしょうか。多死社会のピークは2040年と言われています。

いいえ!もっと早いです。大買い手時代は大相続時代の前に来ます。
健康寿命は平均寿命より短く、男性72.68歳、女性75.38歳です。

特に札幌で一戸建てに住む高齢者に大きな負担となるのが冬場の雪かきです。一戸建てから雪かきが不要なマンションに引っ越しするのは札幌の高齢者のよくある選択です。また、自宅は売却によって高齢者施設への入居資金となります。住みもしない住宅を親から遺されるより、そのお金で介護の面倒のない施設に移ってくれたほうが子どもも助かります。かくして相続の前に中古住宅の売り出しが始まります。もう始まっているかもしれません。中古住宅の売り物件の増加はここ数年で目に見えると思います。

新築マンションの高騰は人手不足と輸入材料の値上がりによる建築費の高騰が原因ですから、人口の様態によって暴落はありません。実際にマンションは建設自体が減っており、それが価格高騰につながっています。同じ理由で新築住宅も値下がりしません。以前には、都心部を離れて地価の安い土地に住宅を新築する選択もありましたが、地価が安くても建設費は高いままですから、割安感が出ません。

なお、相続人が住まないために破格の値段で売られている中古住宅は北海道内に既にたくさんあります。札幌市を離れれば、住宅価格高騰などとは別世界です。条件が悪すぎて負動産と呼ばれ空き家問題の原因となっているものもありますが、ちょっと考え方を変えれば破格のお値段で夢のようなお城と新生活を手に入れることができます。

どう考え方を変えればいいでしょうか。はい、アメリカ人のマインドになりましょう。北海道の中で公共交通機関だけで生活が成り立つのは札幌市の地下鉄沿線だけです。あとは市電の駅近、JR線はぎりぎりです。北海道はアメリカのようなクルマ社会なのです。成人した家族は1人1台クルマを持ちます。クルマがあるからコンビニにもイオンにも自由に行けます。不動産を選ぶときに駅やバス停が近いかはどうでもよく、それらは1日に何本あるかわからないようなもので不動産サイトのテンプレート上削除できないので載っているだけです。家族全員のクルマが駐車できるスペースのほうが重要です。日本はすばらしい国で、どんな田舎にも必ず小中学校があります。そして集まったふるさと納税を資金に積極的に都市部ではできないような子育て支援(認定こども園の無料化、高校生までの医療費全額補助、子育て世帯の住宅購入補助など)をしている自治体がみつかります。そして不動産がすっごく安いのです。

というわけで、マンションを買おうか迷っている方は、まず、待ってください。北海道・札幌について書きましたが、ほかの地域でも大相続時代の前に大介護時代が来て不動産大売出しが目前です。やってはいけないのは、今の完全に売り手市場なマンションを買ってしまうことです。

なお、もろもろは自己責任で。


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