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4億年前からの友とともに

 4億年前から地球の緑を守り続けてきたミミズと出会って以来20年間、「もったいない精神」のもと彼らと共に生ごみの減量化に励んでいます。ミミズは雌雄同体であり、中でも「シマミミズ」は平均寿命が3~4年と他種よりも長く、絶滅の危惧など全く心配ない、まさに「持続可能」な生物なのです。
 全国の畑でよく見かける緑色のコンポストとは異なり、丸トレイを3段乗せ足していく外国製の容器が彼らの棲家です。トレイに生ごみを均一に毎日投入し続け、増えるごとに上へ上へとトレイを乗せ足していき3段めで完成です。そのころには最初のトレイの生ごみを食べ尽くした彼らは上のトレイに引っ越し、後には見事な「有機堆肥」ができあがっています。この堆肥を畑へ投入し、空っぽになったトレイを再び上に乗せ足すことで無限に持続可能な堆肥製造が可能となります。
 しかし、何でもかんでもトレイに投げ込めばよいというものではなく、そこは手間をかけます。中でも大変なのはカキ殻などの貝類です。貝殻が廃棄されているのを見かけるたびに「もったいない」と感じるのは私だけでしょうか?先史時代の人々でさえ生活廃棄物として投棄しつづけた大量の貝殻を「シマミミズ」は「有機堆肥」として蘇らせるのです。卵の殻なら簡単に両手で細かく握りつぶして与えることができますが、貝類はそう簡単には処理できません。塩分をぬいて天日干しと風雨にさらすこと数か月間、その後細かく砕きます。これを大好物の米ぬかと共に与え太らせます。なぜ太らせるのかと言えば、本来ミミズは自分の体重分の土を食べては、同量のフンの排出を繰り返す生物ですので、太らせることにより生ごみの分解処理量を上げるためです。また、真夏には塩素を含まない水が必要なため、川の水を汲み上げトレイの内外へかけてやります。ここまでするともはやペットみたいなもので、釣り餌になどもっての外です。
 彼らが生ごみを食べるという自然な営みにより有機堆肥に変えてくれるリサイクルシステム。たかがひとりと数千匹のミミズたちにできる分量など20年間繰り返しても地球にとってはほんの僅かな量なのかもしれません。しかし、トレイが繰り返し彼らの大活躍を温かく包み込み、私に持続可能な体力がある限り、これからもミミズと共にコツコツと生ごみを「再生」し「再利用」することで微力ながらも未来へ「リサイクル」しつづけていきたいと思います。


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