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地球に先住する友と雨と共に

#もったいないから
 4億年前から地球の緑を守り続けてきたミミズと出会って以来22年間、「もったいない」をきっかけに彼らと共に生ごみの減量化に日々励んでいます。ミミズは雌雄同体であり、中でも「シマミミズ」は平均寿命が3~4年と他種よりも長く、絶滅危惧など全く心配ない、まさに「持続可能」な生物なのです。
 
 私が購入したコンポストは全国の畑でよく見かける緑色のそれとは異なり、黒色丸トレイを3段積み重ねた5脚独立型のオーストラリア製コンポストです。この丸トレイに生ごみを均一に毎日投入し続け、それらでいっぱいになるたびに上へ上へとトレイを1段ずつ乗せ足していき、最終的には3段めで彼らの棲家が完成となります。そのころには初めの最下段トレイの生ごみを食べ尽くした彼らは上のトレイに引っ越し、後には見事な「有機堆肥」ができあがっています。この堆肥を畑へ投入し、空っぽになったトレイを再び最上段に乗せ足すことを無限に繰り返すことで「持続可能」な堆肥製造が可能となります。
 
 さらに驚くべきことは、このコンポストには国産製にはない蛇口が最下段に装備されている点です。この蛇口を開けると、コンポスト内で熟成した堆肥を通過して完成された濃厚なコーヒー色の液体肥料が流れ出てきます。この液肥を倍に薄めたうえ、有機堆肥と共に家庭菜園に利用できるため一石二鳥です。
 
 しかし、何でもかんでもトレイに投げ込めばよいというものではなく、そこは手間をかけます。中でも大変なのはカキ殻などの貝類です。日常生活で貝殻が廃棄されているのを見かけるたびに「もったいない」と感じるのは私だけでしょうか? 先史時代の人々でさえ生活廃棄物として投棄し続けた大量の貝殻を「シマミミズ」は「有機堆肥」として蘇らせるのです。卵の殻なら簡単に両手で細かく握りつぶして与えることができますが、貝類はそう簡単には処理できません。塩分をぬいて天日干しと風雨にさらすこと数か月間、その後ハンマーで細かく砕きます。これを彼らの大好物の米ぬかと共に混ぜ合わせて与え、さらに太らせます。なぜ太らせるのかと言えば、本来ミミズは自分の体重分の土を食べては、同量のフンの排出を繰り返す生物ですので、太らせることにより生ごみの分解処理量が体重に連れて上がるからです。
 
 夏季になれば水をトレイの内外へかけてやります。特に暑いときはミミズが喜ぶそうです。この水も塩素を含む水道水を無駄遣いすることなく、「もったいない」精神のもと、天からの恵みである雨を逃さず貯え再利用します。その方法は簡単です。カーポートの軒といの端の下側にあるキャップを外し、そこから雨水を大型のバケツに受けて貯めるのです。特別な工事の必要もなく、キャップを外すだけですのでおすすめです。ただし、降雨時は大変なことになります。雨を溢れさせてはもったいないとばかりに、バケツをとっかえひっかえの大忙しとなります。この雨水をトレイにかけてやり、余った分は野菜への水やりにも使えるため、また一石二鳥となります。ここまですると彼らは私にとってはもはやペットみたいなもので、釣り餌になどもっての外です。
 
 彼らが生ごみを食べるという自然な営みにより有機堆肥に変えてくれるリサイクルシステム。たかが私ひとりと数千匹のミミズたちにできる分量など22年間繰り返しても地球にとってはほんの僅かな量なのかもしれません。しかし、トレイが繰り返し彼らの大活躍を温かく包み込み、私に「持続可能」な体力がある限り、コツコツと生ごみを「再生」し、「再利用」します。いつもの暮らしでできる環境への取り組みとして、また、地球と人に優しいサステナブルなアクションとして、これからもミミズと共に大地を潤し続けていきます。








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