ストマックマン

これは私が恨み妬み怒った末、勇者と言われるまでの話だ。

錆色にぼやける夜空の中、旅中であった私は腹を下し丁度いい場所が見つからず、途方に暮れていた。
いよいよ警察のご厄介になることを覚悟した。
が、神は私を見捨てていなかった。

我が子を抱え、刺激を与えないよう競歩じみた格好でベストプレイスに向かう。

まだ慌てるんじゃあない。お前の出番はもう少し先だ。

声に出していた。
誰かに聞かれていたら恥ずかしいなと笑いながら私はそこに入った。

その後は至福愉悦恍惚、なんと形容すればいいのかわからない程
凄まじい開放感に襲われ気づくと目尻の先が濡れていた。

大きなため息漏らして早々に立ち去ろうとしたが私は妙な違和感に包まれた。

外から黄色い声が聞こえる。

漫画のような滝の汗を体感することになるとは思いもよらなかったよ。

これは私が恨まれ妬まれ怒られた末、勇者と言われるまでの話だ。

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