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Podcast を1年半続けた学び(Season1 最終回にあたってのふりかえり)

拝啓 残暑の候、

みなさまは、音声配信をしたことがありますでしょうか?

今回は、ブログや旅行動画の裏でひっそりと進めていた挑戦の記憶、得られた学びと、未来への思いを残しておこうと思います。

番組ファンに向けて、そして、Podcast を始めてみたい人の役に立てば幸いです。


ラジオが録りたい人たち

昨年2月から始めた  Podcast 番組も、気づけば60回。
Season1 最終回となりました。


ノートアプリを見返すと、2022年の1月。
最初に番組のタイトルが登場したのはこの頃です。

当時(2021年9月頃)は、コロナ禍真っ只中ということで、会社の方や、以前から親しい友人以外との関係性が、希薄になりつつあることに危機感と孤独感を抱いていました。
何かしらの新しい繋がりを作ろうと考えていた矢先、番組の相方と、新宿の老舗の喫茶店で、近況報告をする機会がありました。
それぞれが最近取り組んでいることや愚痴を交えつつ、今の番組の原型になるような、妄想を話しており、ラジオを録ってみたら、面白いかもね、という話になりました。

時は流れ、2022年1月。
中華料理店で夕食をとる機会があり、風化し始めていたラジオの話が息を吹き返します。
相変わらず、未来で人類は人工知能に支配されるだの、人間の究極の目的は脳が気持ち良くなることだの、レバニラを食べながらのたまう相方のディストピア観に、自分は、
「この後録ってみるか」
と、収録を提案することとなりました。
これが、Podcast番組、「拝啓、3000年の人類へ」の始まりであり、初回「#1 ラジオが録りたい人たち」となりました。

ここで、簡単に、番組の紹介をすると、「拝啓、3000年の人類へ」は、

西暦3000年の未来を生きる人類に向けて、現代人が日々感じることから、その先の未来を想像したり、時には誇大妄想したりして、未来人に向けた現代人の声を残そうとする番組。

Podcast番組 拝啓、3000年の人類へ

というようなもので、"未来のアート"から、"宇宙時代の駅弁"、"トイレで神に祈る神は誰か?"、"100年後の福引の景品"、"掃除機は未来でペットになるか?"、など、未来の妄想を話す番組となっています。

番組コンセプト・配信内容の初期案は、
・「未来を妄想すること」
・「僕らのような、一般人小市民からの妄想であること」

であることは決まっていました。

加えて、「閉塞感ある現在であっても、未来にワクワクしたい。未来から振り返った今が楽しいものでありたい」ということで、

・今を生きる一般人が、未来を生きる未来人に向けて、声を届ける、ということをテーマとした。
・でも、なんだかおこがましいので、声を届けるとは言わず、垂れ流す。
・サブタイトルについては、現代人はこんな思いをもっていたんだ、という意志が伝わるように、〜したい人たちで、統一する。

というような形としました。


Podcast 番組「拝啓、3000年の人類へ」、始動。

以前から、語学学習や雑談系ポッドキャスト番組をいくつか聴いていたのですが、いざ自分たちが収録してみると、本当に"ただ音声を垂れ流しているだけ"でした。

何が言いたいかというと、音源を聴いている人に、内容や思いを届ける視点が足りていなかったのです。

具体的には、
・音源の向こうにいるリスナーを意識して話していない
・当たり前のように分野の専門用語やハイコンテキストな内容を話し、一般人が聴いてもわかりにくい内容になっている
・言い淀みやフィラーが多く、会話の流れが分かりにくい
・不適切な音量バランスやノイズが含まれている

など、聴く側ではわからなかった点が多数ありました。

それらを含む音源を、"聴けるようにする"ための編集スキルを、わずかながら学び、改善しながら配信していきましたが、本当に奥が深く、
どこまでで妥協するかによりますが、平均して収録時間の3〜4倍程度、アップロードまでのすべての作業を入れると5倍程度かかっていたと思います。
編集を通じ、動画・音声クリエイターの大変さを身をもって学びました。


Anchor(Spotify)テーマへの参加

音声配信でありがたかったのが、公式テーマです。
これは、共通テーマを通じて、同じ配信者と繋がったり、他の番組のテーマの調理方法が学べるという意味で大変有意義なものでした。
実際に聴いてみると、テーマの解釈は千差万別で、同じテーマでもこんなにも違う話が出てくるんだなぁと感心したことを覚えています。

僕らの番組でも、いくつか参加させていただいていたのですが、みなさんご存知の通り、気を衒ったものばかりになっております。

テーマ「○○からの卒業」なのに、「孤独からの卒業」をテーマとする。

テーマ「買ってよかった○○」なのに、「フレンチブルドッグを救おう」とする。

テーマ「朝派?夜派?」なのに、「脇の下から月を観よう」とする。

どれも、テーマを曲解してますね。

テーマの解釈は、番組それぞれだということから、文字を超えた妄想がどれだけできるかいかにテーマからタイトルにつながることへの意外性を出すかを、よく考えていました。

また、Spotify公式アカウントに、何度か番組テーマを取り上げていただき、Spotify公認のクリエイターとして、Spotifyの #spotifyで話そう 欄や、Spotify for Podcastersクリエイター欄にも掲載いただけるようになりました。
知名度が上がることにつながったため、本当に感謝しております。


特別編で型を破る(破りたい)

配信に慣れてきて、自分たちの番組の型が決まってくると問題になるのが、番組のマンネリ化です。
当時は、まだ番組エンディングもBGMもなかったことから、ただ話すだけの雑談で、緩急もない状況でした。
そんな、マンネリを解消しようと、音声配信ならではの特別編ができないか、模索してみることにしました。

Youtubeをはじめとした、動画配信が普及する昨今ですが、動画配信に比べて、音声配信が優れている点は、情景をリスナーに委ねることができる点、だと自分は考えています。
聴こえる音声や環境音、その場にいる自身の感情を届けることで、ラジオは配信するだけでなく、時間と空間を閉じ込めた、未来のリスナーへのタイムカプセルとできるのではないか、ということを試してみることにしました。

昨年公開した「○○○への手紙」では、音声から、自分のいる場所を相方に推理してもらう、という新しい取り組みに挑戦したりもしました。
まだまだひよっこということで、構成がうまくいかなかった部分もありますが、環境音なども含めた取り組みは、楽しく取り組むことができました。

また、上記の反省を踏まえ、今年は、別の特別編にも挑戦したりもしました。今回は、短く、クイズを交えることで、旅の楽しさなども伝えることができたのではないかなと思っています。


ポッドキャストウィークエンドへの参加、"垂れ流す"から、"届ける"への変化

昨今、世間では、ポッドキャストのイベントが開催されるようになってきました。
その一つの大きなイベントが、昨年秋に下北沢で開催されたポッドキャストウィークエンドです。

こちらのイベントでは、人気番組の展示や出展、トークイベント、そのほかにも人気急上昇中のネクストヒット番組の出展まで、配信者からリスナーまで楽しめる素晴らしい企画がありました。

たまたまTwitterで知った自分が相方に声をかけ、急遽参戦することにしました。
会場に到着すると、Podcastを愛する多くの方々で賑わっており、様々な出会いの機会をいただくことができました。
僕らも、初めて番組の配信者さんにお会いしたり、自分たちの番組のリスナーさんにお会いすることができました。
特に感動したのが、やはり、「知っている声の人がいる!」ということでした。音声でしか聴いたことがない人が目の前にいるということは、これまで経験したことがなく、とても不思議で興奮する出来事でした。
イベントでの一番の思い出は、やはり、番組配信者や僕らのリスナーが実在する、ということに驚きと感動を覚えたことでした。

イベント終了後、目には視えない、"たくさんのお土産"を持ち帰ってからは、聴いてもらう方の立場に立った番組作りを始めてみることにしました。

具体的に、以下のようなことを変えてみることにしました。
・エンディングの追加
・BGMの追加
・リスナーへの投げかけを含む会話
・積極的な他のPodcasterさんとの交流

結果、部屋でマイクを挟んでトークを収録し、ネットの海に垂れ流すだけだった僕らの音声は、音声の向こうにいるリスナーを認知・意識するようになり、自分たちのトークを終えたあとの、メタ的な視点での会話をするようになったりと、Podcast番組として、一皮剥けた番組作りをできるようになりました。
本当に、イベントに参加してよかったな、と改めて思っています。


ポッドキャストオアシスの開催

そして、今年6月。番組初となる、"つどい"を、Podcasterさんと一緒に開催する運びとなりました。
企画から開催まで、わずか1か月弱という短い期間で、それぞれが準備を進め、さまざまな番組と交流する機会を創出し、Podcaster とリスナーの架け橋を目指した"つどい"を開催することができました。
話すと長くなってしまいますので、ぜひ、X(旧Twitter)で #ポッドキャストオアシス と検索していただき、当時の盛り上がりをご覧になっていただければと思います。

開催後の振り返りは、以下の回でお話ししております。

イベントを開催してみて感じたのは、やはり、現実の肩書きや立場を超えて、Podcastというつながりを持つ人たちと話すことの楽しさです。
これまで、別々の人生や背景を持った人間が、Podcastという一つのオアシスに集い、Podcastを語り合えたのは、本当にいい思い出だったと今でも感じています。


そして、Season1の最終回へ

番組開始から1年半、転機が訪れました。
自分と相方、それぞれの仕事の転機です。
それぞれ新しいことに取り組むことになるということで、共同で進めるということが難しくなりました。
そのため、ここで一度、Season1の幕を下ろすこととしました。

最終回を編集しながら、1年半の番組に想いを馳せます。
・僕らの「ラジオが録りたい」は、自分本位の話したいではなく、リスナー、そして未来人に届けるために、録りたいに変わっていたということ。
・僕らの音声は、第1話の僕らから、第60話の未来を生きる僕らに確かに届いたということ。
・これは、短い未来である、僕ら自身にとっても、変え難いタイムカプセルとなっていたということ。

特殊エンディングで、各回のタイトルコールを挿入しました。
「〜したい」という形式でとったのは、当時の「こうしたい」という想いを未来に残す意図だったのですが、それらがつらなって、今へと続いていることを改めて感じることができました。
過去の自分に、改めて感謝すると共に、僕らの過ごした時代を、これからも未来に繋げていきたい、そう感じました。


「Podcast で声を届けるということ」は何をもたらしてくれたのだろう?

改めて、最初の話に戻りますが、Podcast で声を届ける、ということは、僕らに一体何をもたらしたのでしょうか?

垂れ流す、から、届けるへ。
自分たちのためだった配信が、音声の向こうの誰かに届けるために変わったのは、確かで、「ラジオが録りたい人たち」の「録りたい」の意味に「他者のため」のニュアンスが増えました。
そして、ただ電波塔のように流れていくだけだった音声が、僕らの実在性を徐々に孕むように変わっていったようにも思えます。
その、音声の蓄積は、未来へ届けるだけでなく、過ぎ去った時間や思いが、確かにそこに存在したということもまた、気づかせてくれました。

結果として、Podcast配信は、誰かに届けることの楽しさや難しさを学べたことに加えて、届ける側の僕らにとっても、かけがえのない、未来へのタイムカプセルをもたらしてくれることとなりました。


まとめ、または、Season2 で届けたいこと

この記事を書いていて、Podcastを始める選択をしたことで、ずいぶん遠くに来ることができるようになったな、と改めて感じることができました。
閉塞感漂っていた2021年の喫茶店、2022年の冬の寒い部屋での収録、2023年の晴れわたる青空のつどい、そして記事を書く2023年8月の深夜。
この記録と思い出は、きっと、未来にも残り続けるのでしょう。
それくらい、Podcastによって、自分も救われていたんだと思います。

残念ながら、Season1 で2人での配信は終了します。
しかし、僕らはひねくれ者の集まりです。きっと、僕らの歩む道はまっすぐではないでしょう。
これからも、ズレた道を歩み続ければ、いつかまたどこかで交わる日が来るのかもしれません。
その未来がいつか来るかもしれないことに期待し、幕を下ろしたいと思います。

次回からは、いよいよSeason2に入ります。
Season2 でも、未来にワクワクできるような、空想と妄想をお届けできるようにしたいと考えています。
誰かの明日が、少しでも楽しくなるような、出掛けてみたくなるような内容も創っていけるといいなと思っています。

まだ番組を聴いたことがない方は、良いタイミングだと思います。
ぜひお聴きいただければと思います。
もし、楽しんでいただけたようでしたら、ぜひ応援いただけますと幸いです。
未来系ポッドキャストの冒険は、これからも続きます。



2023年8月の現代人から、未来にこの記憶が届くことを願って。

敬具

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