ママは儘ならないまま #エッセイ
家を出てから随分と経つ。
それでも数年に一度は帰郷するのが故郷というものだ。
私はメイクを落とし、胸の目立たないブカブカの服を着て帰路に臨む。
家に着くと、母は嬉しそうに自慢の料理の腕を振るう。
父は悪態を吐きながらもパソコンやスマホの修理をしてくれる。
姉は大喜利系YouTuberのクソ動画を笑顔でオススメしてくる。
祖母は「人には人のペースがある」と私の現状の体たらくを優しく慰めてくれる。
愛猫は"撫でて欲しい"と喉をゴロゴロ鳴らして足元に擦り寄ってくる。
皆、私を愛して