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明日の風に乗って(4)

 霧は晴れ、光はその正体を明らかにする。それは古い灯台だった。灯台は廃墟となっているはずだった。アキオが灯台の扉を開けると、中からは温かな光が溢れ出てきた。部屋には、古い地図と日記が置かれていた。 灯台の内部は意外にも手入れが行き届いており、穏やかな雰囲気が漂っていた。壁に掛かった古ぼけた絵画、長い年月を感じさせる木製の家具が並び、そこには人が生活しているかのようであった。アキオの目を引いたのは、中央のテーブルの上に置かれた古い地図と日記帳だった。地図はこの灯台が建つ山と周辺地域を詳細に記録しており、日記帳には過去の灯台守の日々の記録が綴られていた。

 アキオは地図を広げる。指で山々と海岸線をなぞりながら、この地域の歴史に思いを馳せた。日記帳を開くと、そこには灯台守の生活、灯台への愛着、時には孤独や喜びが綴られていた。それはまるで、過ぎ去った時代と、その人々の息遣いが今に伝わってくるようだった。 外の霧はさらに晴れた。灯台からの眺めは、より一層鮮やかになった。アキオは、窓から外を見渡し、遠くに広がる海と山々の景色に心を奪われた。この灯台が何故廃墟とならずに残っていたのか、その答えは、この場所の静けさと美しさにあるように思えた。アキオは理解した。この灯台は単なる建物ではなく、過去と現在、自然と人間が交わる場所であったと。秘められた物語と、時を超えた絆を感じながら、アキオは、しばし、その場所に留まり、穏やかな時を過ごした。

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