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絶望ライン工が好きな理由

はなんなんだろう、とはたと考えてみます。

絶望ライン工は、YouTubeのチャンネルです。ZANIOさんという作曲家の方が、その道を諦めて工場に就職したのがたしか2020年とかですね。

で、手取り16万円で、現在41歳、婚活しながら絶望ライン犬という柴犬(たまこ、という名前らしい。通称ぜつけん)6畳のアパートとで同居しています。(考えたら、この感じのアパートでペットOKとは珍しい話でもある)

この方のワードセンスがすごく良くて、丁寧さと暴言?がいり混じっていて、自虐的なんだけど好感がもてて、ユーモア溢れているんですよ。一人語りと字幕のテキストとの掛け合いもおもしろくって。

でも

絶対笑わないんです。動画の中で喋ることもありません。カメラ目線の時は睨んでる。なんたって絶望してますからね。
お部屋はいつもきちんと掃除されていて、料理も毎日味噌汁と目玉焼き、冷奴とかですがきちんと器に盛り付けて、お弁当も作ったり生活を丁寧に楽しんでいる感じ。幸せそうなんです。

そう、非正規労働の41歳独身男性、自分を律したりりしい生活なんです。わんこのお世話もきちんとしている感じで、犬も幸せそうです。清貧、という言葉が似合う、昭和の文豪みたいな(実際読書家です)

かつ、かつての夢を諦めた者として潔く、音楽で道を歩む友人を尊敬して認めている部分もあり、もちろん自分の失った夢への悲しみも隠しません。

いまは動画が予想外に成功したことで、また音楽も作り始め、作曲家としても活動されているようですが。とにかく最近人気があるチャンネルで、50万人以上とか?で、登録者も伸び続けています。(A Thousand Miles と、See You Againの本人のカバーが素晴らしくて泣ける。ぜひ絶音でリリースしてください〜!!!)
なので実際Youtubeからの広告収入は月に100万円とかは軽く超えているはずなんですけど、生活はほぼ変えていないんですよね。会社もそのままはたらいているし(ライン工から事務職に配置転換されましたが)。それも好感度の秘密かも。

ああ、絶望さんを説明しようとおもったらただなんか素直に褒めてるばかりだな〜。いや、そういうことじゃなくて、なんでこのチャンネルがこんなに人気なのか、ということが不思議なんですよね。41歳がただひとりでご飯作って食べたり出かけたりしてるだけの動画を50万人見てるって。

でもでも、こういう生活をしている一人暮らしの中高年って多いわけじゃないですか。貧しいながら絶望さんのように襟を正してきちんと生活をしているのって、自身に重なる方も多いでしょう。昨今、Youtubeは50代、60代も75%くらいの人は見てるそうですからね。

料理して、食事をするシーンもやたら多いんです。料理チャンネルとは違って大体毎回食材や料理は同じ順列組み合わせなんですが、(笑)米と炊飯器だけはこだわっていて、”雰囲気で作っている”味噌汁としろめし、香の物と冷奴を至極美味しそうに召し上がるんですよ。毎回毎回。

ご本人(絶望ライン工)の歌ではないんですけど、”生きてるって”こういうことよな〜と思わせられます。生きてるって、食べて、寝て、基本の繰り返し。でもそこに喜びはあるんだと。



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