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YouTuberの企業案件とインフルエンサーマーケティング

昨日、とあるYouTuber事務所の経営者の方とお話しする機会があり、昨今のインフルエンサーマーケティングに関して興味深いことをお話しされていて、ためになったのでこのnoteを書いております。

みなさんはYouTubeの動画をご覧になったことはあるでしょうか?18-44歳までの国民の8割が利用しているYouTubeですが、コンテンツもゲーム実況からビジネス、エンタメ、コスメなど幅広いジャンルのものが揃っていて、生活に欠かせないメディアになっている、ともすると、今ではテレビよりも見ていると言う方も多いんじゃないでしょうか。

そんな中、華々しい活躍を見せているYouTuberたち。ヒカキンさんを筆頭に、はじめしゃちょー、ヒカル、ラファエル、みなさんもよくご存知かと思います。最近ではフワちゃんがテレビメディアを横断して人気に拍車をかけています。

彼らは自分たちで企画を考え、動画コンテンツを公開し、そこから生まれる広告収益をもとに生計を立てているわけですが、一方で企業案件と呼ばれる商品紹介動画などでも収益を得ています。この辺りは当たり前のことに感じる方も多いかもしれないですね。

僕がお伝えしたいのはここからです。

”ぶっちゃけ、企業案件(やらされの商品紹介)ウザくね?"

と言うこと。この商品紹介動画って1本撮るだけで数百万の単価でお金が動くんですよね。だから、YouTuber側もついつい受けてしまう。特にまだ駆け出しのYouTuberなんかは自分たちのブランドイメージに合わないような商品紹介まで請負ってしまうわけです。ファンが求めてないコンテンツが公開されるので、ファンが離れてしまうのは自明ですよね。現代のユーザーはすごく敏感です。いろんなコンテンツに触れて育ってきているので、「あ、これやらされ(やらせ)だな。」というのにすぐに気がつき、一瞬で興醒めします。ひどいときはアンチに転換してしまうことも。

もちろん全ての企業案件動画がそんな具合だとは思いませんが、無邪気な広告主、無能な代理店、小銭を稼ぎたいインフルエンサーがそんなクソ動画を量産しまくっています。

中華系のソーシャルゲームがいい例です。(●野行動、●剣伝説、ドラゴン●ラッドとか)日本はソーシャルゲームに対して課金をする文化土壌ができており、世界的に見ても一人当たりのゲーム課金額が非常に高い国です。そこに目をつけた中華企業がどんどん日本進出を進めていて、チャイナマネーを使ってクソ企業案件を増やしまくっているのです。そんな動画を見てみると全然面白くもクソもないんですよね。何のためにやっているんだろうという。文脈や目的を全く考えず、兎に角札束で殴ってきているという感じがして非常に下品だなと。逆に言えば、あの下品な量産体制は非常に中国的だなとw。

話がそれましたが、結論としては、企業案件動画はクソだということです。

で、最近お話しさせてもらったYouTuber事務所の社長さんがおっしゃってたのは、「企業案件がダメだとは思わないが、文脈がなく作られた動画は誰のためにもならない。」ということでした。広告主は思ったように商品が売れない一方で予算が飛ぶ、インフルエンサーはブランドに合わないクソ動画をあげることになるのでブランドを毀損しファンが離れる、代理店は一時的には利益は出るが広告主のビジネスをスケールさせられず長期的には利益につながらない、そんな具合で各社が損をしてしまうのです。

ではどうすべきか。まずそもそも、プロダクト(と市場)のことをしっかり理解してちゃんとクライアントに意見したほうがいいよという事でした。クライアントが丹生込めて育ててきたプロダクトに意見するのは申し訳ないような気もしてしまうのですが、逆に正直にNGを出せない方が申し訳ない事だと。この商品にはうちの事務所で抱えるインフルエンサーに商品紹介させても絶対にスケールしないからやめといた方が身の為だ、と。YouTuberを起用することは相応しくないと判断すれば、もはや仕事を受けないことさえあると仰ってました。

それでも、どうしてもやりたい!!というクライアントに対しては、商品のことはほとんど触れないようにしてただただ楽しい動画を作って興味を持つきっかけ作りに留めましょう、とか。とにかくクライアントのビジネスをスケールさせるための視点で戦略立案していくそうです。

逆に、YouTuberに合うコンテンツで、その商品に対してYouTuber側も強く関心があったり、大好きな場合は爆発的なヒットになる可能性が非常に高いです。そりゃそうですよね。面白そうにゲーム実況してたら自分もやってみたくなるし。また、YouTuberがその商品を愛していると、勝手にガンガン利用したり、プレイしたり、動画を上げてくれるそうなのです。そしてその動画を見た別のYouTuberも芋づる式にその商品を紹介してくれるような連鎖まで起きるそうなので、やはり、好きという感情が持つ力は物凄いものがあります。

また、最近のインフルエンサーは投げ銭収入で暮らす方もかなり多いようで、一晩でサラリーマンの年収超えの投げ銭が起こることもあるそうです。(恐ろしい・・・)なので、企業案件を受けなくても普通に生活していけるという状況にあり、自分のブランドイメージに合わないものは断ることが当たり前になりつつあったりするみたいです。敏感なインフルエンサーはブランディングを大事にするし、それができる環境が整ってきているということは市場全体の最適化を考えるととてもいいことかもしれないですね。

僕も仕事をする上で、ついつい予算の獲得だけに走ったり、本質的じゃないけど広告主が求めているからという理由で言いなりになってしまったりすることがありますが、今回の話を受けて、プロである以上、提言するときは気をつけなきゃならんな身に染みました。

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