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いのちの始まりと終わり…season0-1

よくある…と言えばそうなのかも知れない。
でも、実体験した話。

強いて言えば、主人と付き合う前に、私は婚約した相手がいた。9年間も付き合った人だ。

元婚約者は、不貞を働き二股をしていたのだ。
しかも、相手が妊娠していると言う。
元婚約者の両親も、私とは仲良くしていたし、両家の顔合わせを終わらせていた矢先の出来事だった。

婚約後、初めて迎える大晦日。
ふたりきりで、他県に旅行に出掛けていた時のこと。


カウントダウンまであと1時間ぐらいだっただろうか…

彼の携帯電話が鳴る。

盗み聞きするのもどうかと思い、お酒を飲みながら大晦日の特番を見ていた。

…なにやら、話し込む彼。
ボソボソと「いや。。。」「…だから」と、思わしくない雰囲気に、思わず彼に目をやる。

どうしようもなくなったのか、彼が急に、
「電話にでてくれないか…」
と、私に携帯電話を渡そうとする。

「なに?どうしたの?」

元婚約者曰く、

「おまえは強いから、わかってくれるだろ?」

何のとこやら…
まあとりあえず携帯電話を受け取り電話にでる私。
電話の向こうでは、数人の女の声。
ガヤガヤとうるさい。

突然甲高い声の女が

「私の彼を返してぇ!!」

……
は?
彼?
何のこと?


しばらく思考が止まる私。
彼に目を向けると、ベッドの隅で項垂れている。

電話口では、追い立てるように

「わたし、彼の子を妊娠してるの!」

電話の向こうは大騒ぎ。数人の女が、相手の女に指示しているようだ。

思わず
「…てか、あんた誰よ?」

いわば修羅場の状況に、私の頭は、比較的クリアだったように思う。


その女は更に
「私、妊娠してるのよ!」
妊婦とは思えないほどの大声で捲し立てる。

その声が聞こえたのか、彼がか細い声で
「…いや、絶対にありえないから…」
と弁解する。

私が
「思い当たることがあるんでしょ?」
と聞くと、返事がない。

…はぁ。

気分よく年越しを迎えれると思ってたのに。
ココロの中が、どす黒い得体の知れないもので渦巻いてきた。

「あんたの言う、その彼とやらの事とははそっちの話だから、あんた達で話し合ってくれる?」

私はそう言って、電話を切ってやった。

ついでに、電源も切って、ホテルの壁にぶち当ててやった。


それと同時に、新年を迎えた。



か細い声で彼が
「…ごめん」
と呟いた。

…てか、何なの?
どーゆーこと??

聞きたい事は山程あるけど、とりあえず、ワインのハーフボトルを一気飲みした。

「なんか言いたいことある?今、嘘偽りなく全て話してちょうだい。」

怯えた様子で話し出す彼。

どうやら、職場の部下らしいその女とは、婚約者がいる事を知りながら、半年程関係を続けていたらしい。
別れを告げたら逆上された。
妊娠したと嘘を言っている。

「ドラマか??」
思わず口走ってしまった。

旅行1日目の夜に、この話?
…旅をする気になれない。

「とりあえず、明日戻って話をつけてきな。このことはご両親にも伝えるからね。」

私はそのまま、テレビを見ながら深酒をする事にした。


翌朝、彼に旅費を全額払わせ、午前中のうちに地元に戻って解散。



3泊4日の婚前旅行。

今思うと、これから起こる私の人生の修羅馬は、ここから始まったのだと思う。



…coming soon…


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