みんな地獄の淵

 わたしは子供も頃強迫性障害だったこともあって、病気でない人はもっと何かに守られていて、穏やかな人生を保障されている安心感の中で生きているのだと思ってた。


 が、意外とそうでもないらしいと大人になるにつれてわかってきた。

 病気であろうとなかろうと、未来に何が起こるかは誰も知らないという点で平等なのである。
 守られて生きている人なんていないんだ。

 誰も守られてないということは、みんな仲良く地獄の淵にいるのだ。


 どうしてみんな笑ったり安心して眠れたりするんだろうと不思議に思うことがある。
 ここが地獄かもしれないのにどうして楽しそうにできるんだろうと。

 でも、どうせ生きている限り地獄なのだから、地獄の中でもちょっといいことを見つけたら喜ぶし、とりあえず今晩だけでも寝られる時間と場所があればぐっすり眠るのだろう。
 地獄で生活するとはそういうことだ。


 地獄の淵、誰にも守られていないわたしたちは、しがらみもないから自由に踊れる。

ここまで読んでくれたあなたがだいすき!